「顧客のために価値を創造している」というマーケティングマインドを組織全体で持とう

日本マーケティング協会は2024年1月25日に、「マーケティングの定義」を34年ぶりに刷新。前回の定義が制定されたのは、1990年のことだった。その改訂の発案をした同協会理事長の恩藏直人氏(早稲田大学 教授)に、マーケティングの現在地について話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』2月号の巻頭特集「Marketing is cosmos. 拡張を続けるマーケティングの現在地」の転載記事です。
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恩藏直人氏

日本マーケティング協会 理事長/早稲田大学 教授

早稲田大学商学部卒業。早稲田大学商学部助教授を経て、1996年4月より教授。専門はマーケティング戦略。博士(商学)。早稲田大学商学学術院長、常任理事、財務省、文部科学省、国土交通省などの委員、日本商業学会長などを歴任。2023年6月より、日本マーケティング協会理事長。

時代の流れに合わせた34年ぶりの定義の刷新

━━産業界、あるいは社会におけるマーケティングの捉え方はどう変化してきたと考えますか。

「マーケティング」という学問領域や言葉自体は、私が初めて触れた40年以上前からまったく変わっていませんが、その実態は大きく変化しています。何かを売るとき、基本的には、「創造(製品開発・ビジネスモデル作成)→伝達(物流・流通)→説得(コミュニケーション)」という流れがありますが、1980~90年代のマーケティングとは、主に「説得」のことを指していました。マーケティングが弱い=販売力がない、広告が下手ということ。ところが、モノが溢れて消費者のさまざまな要求が満たされている現代において、人々は量ではなく“質”を求めるようになりました。

その流れで人々の主な関心は「創造」の部分にシフトし、マーケティングにおいてもその部分がより重視されるように。そうした中で、「共創」や「サステナブル」といった新しいキーワードが、「創造」の部分に関わってくるようになり、明らかにマーケティングの守備範囲は広がりました。より経営全般に関わるようになっていると言えるのではないでしょうか。

価値創造や顧客価値の重要性が増したことに加えて、デジタル技術やAIの進歩により、マーケティングの手法も大きく変化していると感じています。

━━「マーケティングの定義」を刷新されたきっかけは何だったのでしょうか。

2023年に日本マーケティング協会の理事長になって、改めて定義について見てみると、時代を反映しておらず、古いと思いました。そこで10名の委員で議論をして今日的で日本的な文化を意識した言葉を使用し、刷新。各企業の人たちがこの定義を認識して、それぞれの企業にあわせた形で実行してくれれば、日本全体として、良いビジネスができると私は思っています。

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…この続きは12月27日発売の月刊『宣伝会議』2月号で読むことができます。

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