次にIT基盤で重要な3つの観点を共有します。
① 違ったメーカー製品/サービスで構築する場合、早い段階で機能連携仕様を決めておきましょう。
② ここで上げたクラウドサービスのライセンス期間は概ね2年間程度となります。少しでもよりよいものを選択できるよう安易な契約延長はせずによりコストパフォーマンスの良いものを選定しましょう。
③ あるべき姿のIT基盤を目指すのは良いですが完全に揃えるまで待つのは得策ではありません。ある程度の完成度を見極め、まずPOC実施を行いましょう。まず仮説コンテンツをペルソナに提示し反応を見ることを優先します。仮説検証を繰り返すことでしか正解には近づかないからです。
と、ここまで解説してきましたが実際問題、これらの基盤整備を実現するのは大変なことです。だからこそ、スモールスタートを念頭に、現実的なロードMAPを作成して実行していくことをお勧めします。これまでの経験から、初期段階での小規模POCを繰り返すことが、よりよい結果を引き寄せると思います。
プロジェクトに魂を入れる! 人とチームの編成とは?
さて、ここまで、オウンドメディアの企画・推進フェーズにおいて、必要な準備事項はひととおり抑えました。
ここからは、この計画に魂を入れ、確実に立ち上げて、さらにスパイラルアップしていくための適切な人、チームが必要です。
ここではそのことについて3つお話しします。
人とチームについては、企画・推進フェーズではなく、運用フェーズで検討しても良いのですが、社内外のさまざまなステークスフォルダーが集まっているフェーズでこそ体制構築しやすいという側面を重視し、企画/構築フェーズとしました。
以下はオウンドメディアを推進していくために必要な体制を図です。
これは初期から中期のプロジェクト推進体制の例です。色を付けた組織は、特に連携を密にすべきチームです。
1. 既存組織に任せると上手くいかないケースが多い
現状の役割/ミッションの延長線上で取り組むので動きが緩慢になりやすく、柔軟で横断的な対応を迫られる初期段階でタイムリーに適切なアクションを行うことが難しい。
対策として、役員をプロジェクトオーナー(PO)とするプロジェクトチームを編成、意思決定の高速化、経費予算のダイナミックな確保と執行、チャレンジャブルなテーマに対する社内突破力などを確保することが重要。
2. コンテンツチームのリーダーは社内から
コンテンツチームは外向けに対して会社の顔であることはもちろん、社内に向けても他部門をリードできるようにしなければなりません。コンテンツチームのリーダーは多くの知見と経験の持ち主である必要があります。
前回までのコラムで社内リソースだけで進めるハードルの高さを伝えました。そして積極的に外部リソースの活用を提言してきましたが、チームリーダーだけは内部人材を充てることをお勧めします。先ほどお話ししたように会社の顔であるとともに社内の関連部署との連携をシームレスに行う必要があるからです。
特に図中に示すいくつかの重要なチーム(緑色の部分)の要なので社内人材の登用が重要です。
3. インサイドSA体制構築は周到かつ慎重に
ここでのインサイドSAはWeb連動型のインバウンドインサイドSA(反響型SAとも言う)です。したがってこの組織は以下のようなバリエーションの職務が必要となります。
何よりも重要なのは、チームリーダーとスーパーバイザーの確保です。チームリーダーは営業経験だけでなくスタッフ経験も積んだ人物が望ましいです。
また、スーパーバイザーはインサイドSAの業務要件から企画立案や実施計画、実施及びその成果評価や、インサイドSA個々人のパフォーマンスに適した育成・指導、さらにはメンタル改善まで広くカバーすることが求められます。それぞれ確保の難しい人材となりますがキャリア採用等広く人材を募ることを前提に早めに準備してください。
最後に、このようなハードルの高いインサイド体制自体を丸ごと外部委託するという選択もありますが、社内構築するメリットもありますので紹介いたします。
① インサイドSA経験が一般営業スキル向上に役立ちます(商品知識、効率的な時間配分、優先順位付けの習慣化、デジタル情報の効果的活用…)。
② お客さまとのやり取りをリアルタイムにスーパーバイザーがウォッチしているので改善ポイントの発見や改善の打ち手が正確かつ早くなり、結果ベストプラクティス量産につながります。
③ お客さまとのやり取りがすべてデジタル化できるので、BIやAIの活用により、より高度なインサイトが得られること。争議におけるエビデンスを確保する事などがあります。
④ 出産、子育て、事故や疾病による外勤困難者の受け皿職種として機能します。
今回は企画/構築フェーズ最後のパートとしてIT基盤と推進体制に触れました。どちらもやることがたくさんあり、その多くについて、新規の取り組みとなります。まずは既存組織ではなくこのテーマを単独で持つプロジェクトチームを役員TOPで設置ください。そうすれば既存組織や既存インフラとの整合や経費予算の執行等、通常組織では難しい採用や業務を前進させることができます。
次回のコラムでは運用フェーズについて説明していきます。