※本記事は月刊『宣伝会議』2月号の巻頭特集「Marketing is cosmos. 拡張を続けるマーケティングの現在地」の転載記事です。
マーケティング領域の曖昧さが役割の期待値へのズレに
――産業界、あるいは社会におけるマーケティングの捉え方はどう変化してきたと考えますか。
これまでスタートアップを中心にキャリアを積んできた私の経験から言うと、マーケティングのフレームワークやHOWは、もはやコモディティ化していると感じています。「3C分析をします」「4Pを考えます」と言われても、それらはすでに誰もが知るところであり、マーケターとして、そうしたフレームワークが使えるだけでは価値を生み出しづらくなっているのではないでしょうか。
また、「マーケティング」という言葉の示す領域が曖昧になっているとも感じます。私と同じ「CMO」であっても、所属する組織によって、ブランド構築からプロダクト開発、組織課題まで、担う役割はさまざまです。この範囲の曖昧さが、多様なことに取り組むことができる良さを生み出しているのですが、ときに経営層の期待値とのズレにつながることもあります。
さらにこの10年で顕著な変化は、マーケティングのデジタル化でしょう。テレビCMやデジタルマーケティングなど、あらゆる施策のROIを数字で計測できるようになったことで、意思決定の精度は上がりました。ただ、「効果測定ができないものには投資しない」という縮小均衡のリスクも生んでいる危険性もあるのではないかと思っています。
顧客が求めるものや前提条件を日々アップデートし続ける努力
――現時点で、「マーケティング」という言葉をご自身の中でどのように定義していますか。
私個人としては、「顧客についての誰よりも深い理解のもと、限られた資源を活用して、一定の期間内に事業を最大化させるための活動全般」がマーケティングだと定義しています。
タイミーは「スキマバイト」という、これまでになかった新しいサービスの価値を理解してもらう必要があるため、顧客理解は最重要課題です。加えて、スタートアップ特有の状況として、資源(人材・物資・資金)と時間の制約もあります。その中で「今やるべきか?」を問い、優先順位を決めたうえで投資対効果を最大化し、結果を出していくことが重要だと考えています。
…この続きは12月27日発売の月刊『宣伝会議』2月号で読むことができます。
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