生成AI時代で重視される「人間性」
本物の植物で緑豊かなオフィス空間を構築
DIGの企画は2024年1月頃にスタート。コクヨのデザイナーのほか、クリエイティブ・ディレクションとしてDDAAの代表で建築家の元木大輔氏が設計に携わった。
創業120周年を迎えたコクヨは文房具からオフィス関連まで様々な事業を展開してきた。既存事業が順調に成長する一方、社員全体の年齢構成が偏り、およそ半分が50代となっている。成功した事業モデルの中で活躍してきた社員は、新しいことにチャレンジすることが難しいという課題を抱えている。
H&C本部働き方改革室 一級建築士の江崎舞氏は「困りごとを解決するための商品を生み出すことは得意だが、誰も挑戦したことがない新しいことを形にする点において苦戦している」と話した。
9日に実施したトークセッションにおいて、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏は「コクヨと同様の課題は、日本の大企業の多くが抱えている」と解説。生成AIの登場により、ホワイトカラー労働の消滅が懸念されている中、既存社員を戦力として生かす工夫も求められているという。
一方、若手社員と比較して変化を望まないケースも多いため、きっかけづくりが必要だとしており、入山教授はファミレスを参考にした「DIG」の有用性を強調。生成AIが台頭した社会においては「誰も答えを知らない問題を探索すること」が求められるとしており、社員同士が深く探求する「DIG」のコンセプトを評価。生成AIが様々な提案を行う一方、人間の仕事は「責任を持つこと」だと指摘し、人間性がますます重視されると見ている。