楽天市場を活用したブランドのビジネス拡大 楽天IDで潜在層へのリーチも

楽天グループのアカウントイノベーションオフィスは現在、パナソニックのオーラルケアブランド「Doltz」のマーケティング活動をサポートしている。楽天のアセットを基盤としたターゲティングやPDCAサイクルの実施により、効率的なリーチと市場拡大を目指している。

 

2024年11月28日、29日に開かれた「宣伝会議サミット2024」に、パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部の松下竜弥氏と楽天グループの秦俊輔氏が登壇し、ブランドとしてのリテールメディアとの向き合い方について解説した。

市場規模の拡大を目指し潜在層へリーチ

パナソニックの「Doltz(ドルツ)」ジェットウォッシャーは、販売開始から45年ほど経つオーラルケア製品だ。しかし、水流洗浄器というカテゴリー自体がニッチな市場であり、市場規模の拡大を課題に抱えていた。また近年、オーラルケアへの関心が高まっているものの、潜在層への認知や情報発信の内容に不十分な点もあった。

この状況を打破するべく、パナソニックはオウンドメディアのコンテンツ強化や楽天市場などのECモールを展開。さらに楽天のメディア特性とデータ資産を活用し、潜在層にリーチする施策を開始した。

まず、楽天データを基に0次分析を実施しターゲットを洗い出した後、楽天市場内のブランドページ内で顧客への製品認知や理解促進を図る。そこから得られたデータを活用し分析と施策改善を進めるPDCAサイクルを回すことで、効率的な認知拡大と顧客の獲得を狙った。

イメージ 楽天市場プロモーションスキーム

70以上のサービスと連携している楽天IDを活用

この施策の結果、「ジェットウォッシャー」のカテゴリーを認知していなかった約53%の潜在層をブランドページに誘導することに成功。また、商品ページへの訪問回数が3回以上の製品検討層も施策開始前の2倍以上に増加し、カテゴリー認知と購買意欲の向上を図ることができた。

写真 人物 パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルブランドマネジメント部 国内マーケティング課 オーラルブランド担当主幹 松下竜弥 氏

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルブランドマネジメント部 国内マーケティング課 オーラルブランド担当主幹 松下竜弥 氏

「この取り組みを通して2つの収穫がありました。1つ目は潜在層へのリーチです。この1年は特にマス広告を強化していましたが、実際に商品ページに訪れた方のうち、テレビCM接触者はたったの3割程度。改めて楽天市場が持つ潜在層へのアプローチ力やポテンシャルを確認できました。2つ目が、データを基に戦略を立てられるようになったこと。リアル店舗とECサイトで競合アイテムがまったく異なりアイテム数も多いので、我々がこの市場において戦う相手を設定することがまず大事でした。サイト接触者の動向やアンケートを分析したことでどのように戦略を立てるべきかが明確となりました」(松下氏)

潜在顧客の分析には、楽天市場の強みであるデータ基盤を最大限に活用した。具体的には、楽天IDを基に自社製品の購入者はもちろんのこと、同カテゴリー製品の購入者や、商品に興味関心は示しつつも購入に至らなかった層を分析し、ターゲット層に対して緻密な戦略を設計。その上で、楽天市場内での広告配信にとどまらず、SNSやGoogle広告といった他のプラットフォームにもリーチを拡大することで、効果的に潜在層へアプローチした。

「楽天IDは、フィンテックやトラベルなど楽天グループが展開する70以上のサービスのデータと連携しているため、大量のデータを活用しながら、より細かな分析を行うことが可能です」(秦氏)

写真 人物 楽天グループ アカウントイノベーションオフィス ヴァイスジェネラルマネージャー 秦俊輔 氏

楽天グループ アカウントイノベーションオフィス ヴァイスジェネラルマネージャー 秦俊輔 氏

ブランドページでは単なる販促活動にとどまらず、顧客とのコミュニケーションを重視したコンテンツを展開。その一環として、楽天社員による実際の使用レビューを掲載し、アンケート回答者にはポイントを付与する仕組みを導入することで、ユーザーの能動的な参加を促し、商品理解の向上を図った。

イメージ 課題解決に向けた分析フレームワーク

また、リーチの段階で終わることなく、購入に至っていない層の行動や意識を分析し、未購入層の購買を後押しする取り組みにも注力した。購入者と未購入者、競合購入者の行動比較を行うことで、課題を可視化し、解決策の立案につなげた。例えば今回の事例では、アンケート調査から他社製品購入者が「メンテナンス性」を重視する傾向が強いことが判明したため、ブランドページ内でのメンテナンス性訴求を強化した。

ECモールはメディアとしての機能も

トークセッションの終盤では、ブランド担当が考えるECモールとの向き合い方をテーマに話を展開。ECモールの活用方法について問われた松下氏は、以下のように答えた。

「オウンドメディアを整備することは重要ですが、そこまでたどり着かない顧客も多くいます。だからこそ、メーカー側から顧客がいる市場に情報発信する場を構える必要があります。特に今回のように多くの人にとって未知のカテゴリーの場合、その提供価値をしっかりと伝えて理解してもらう必要があると思います」

また、秦氏も「昨今は、ECモールは単なる購買チャネルではなく、情報収集やトレンド共有の場としても活用されています。楽天市場はユーザーの回遊性が高く、情報収集に積極的なため、情報収集メディアとして最適なプラットフォームだといえます」と解説した。

イメージ メディアとしても機能するecモール

さらに、KPI設定についても議論が交わされ、秦氏は「購買ファネルに基づく目標設定」が重要だと語った。

「単に『認知度を〇パーセント獲得する』という目標を立てるのではなく、購買者の行動データから逆算してKPIを構築することが大切です。例えば、実際に購入に至ったお客様が商品ページに5回訪問している傾向があれば、中間KPIとして“商品ページを5回訪問すること”と設定できます」

そのほか、ECモールを活用する中での課題点や注意点などについても触れた上で、情報収集の場としての役割も担うECサイトでの情報発信強化は、その他の販路へ良い影響を与える可能性も示唆した。

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お問い合わせ

楽天グループ株式会社

https://maker-showroom.faq.rakuten.net/s/


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