マーケターが動き始めた、新しい潮流
こうした課題を背景に最近注目されているのが、マーケターやマーケティングの役割の変化です。
かつては「商品を売る」「売るための仕組みをつくる」ことがマーケティングの中心でしたが、今では「新しい価値を創造する」ことが求められる時代になりました。特に、地域や次世代との共創を通じて、新しい市場や文化を創り出す動きが増えています。
例えば、大企業のマーケターたちは「社会の課題をどう解決するか」という視点を持ち始めています。単なるCSR活動にとどまらず、地域や学校とのプロジェクトを本業と結び付け、新たな価値を提供しようとしています。
こうした動きは、Z世代との共創や、大学含めた教育機関が社会との接点を求める動きとリンクしており、共創の可能性を広げています。
日本マーケティング協会も34年振りにマーケティングの定義を下記のように刷新しました。
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
参考記事
マーケターが共創の中心となることで、企業は単なる利益追求を超え、社会的意義を追求する存在へと進化しています。そして、その過程で地域や街が果たす役割がますます重要になっていると思います。
地域を起点に、新しい価値を生み出す
このコラムで私が伝えたいのは、「地域に目を向けてほしい」ということです。それが渋谷である必要はありません。ただ、渋谷というひとつの事例を通じて、地域というフィールドが持つ可能性に気付いてほしいのです。
地域には、消費者のみならず、生活者や来街者がいます。そして、まだ十分に活用されていないリソースがたくさんあります。街そのものがひとつの「メディア」として機能する可能性もあります。渋谷未来デザインが7年間で培ってきた知見を共有し、他の地域やプロジェクトにも活かしてもらえたら嬉しいです。
未来への一歩を共に踏み出そう
最後に皆さんに問いかけたいと思います。
あなたのプロジェクトや事業は、社会のどの課題を解決していますか?それを実感できていますか?地域との関係性を、どのように捉えていますか?
時代は変わり、1社だけで何かを生み出す時代は終わりました。共創が求められる今、この変化にどう対応するかが未来を左右します。もし「何から始めればいいのかわからない」と感じているなら、まずは小さくても一歩を踏み出してみてください。その一歩が、未来への道を切り開くきっかけになります。
このコラムを通じて、新しい価値やプロジェクトを生み出すヒントをお届けし、組織内で起こっている分断を少しでも解決し、共創の可能性を広げていきたいと考えています。次回以降は、具体的な事例を通じて、共創がどのように生まれ、進化していくのかをお伝えします。