2.企業風土の刷新のために必要なことに答えていない
2回目の会見に対して世の中の人たちの多くが期待していたのは、フジ・メディアHDの日枝久取締役相談役の進退が明らかになることです。
たとえ日枝氏が現在は代表取締役ではないとしても、1988年に創業家の鹿内春雄氏が亡くなりフジテレビの社長に就任した後、2001年に会長、2017年に相談役に就任し現在に至っており、取締役の在任期間は40年以上と長く、実権を握っていると多くのメディアで報じられています。
質疑応答でも、フジ・メディアHDの金光修代表取締役社長が「現場にはタッチしていないが影響力は大きい。企業風土の礎をつくっていることは間違いない」とまで認めているほどです。
そのため、世の中の人たちは、フジテレビが企業風土を刷新して信頼を回復するためには日枝氏の影響力がなくなることが不可避であると考え、2回目の会見では進退が明らかになるかに注目していたのです。
ところが、日枝氏はそもそも会見に姿を見せず、進退にも言及しませんでした。その理由について嘉納会長(当時)は「この会見は基本的には事案に関する件。取締役相談役は全くタッチしていない」と説明し、金光社長は「今回の件に関しては相談役が直接的な関与という面においてはないであろう」と説明しました。
昨年末の報道以降、フジテレビがこれまで長年育んできた企業の体質や、フジ・メディアHDによるグループガバナンスも同時に問われているのですから、中居正広氏と女性とのトラブルを巡る問題への対応には関与していなくても、「企業風土の礎」をつくった日枝氏が無関係であるとは言い切れません。
「企業風土の刷新」などと言いながら、日枝氏に関して嘉納会長らがした説明の内容は、企業風土の刷新や全社的なガバナンスの見直しや、フジ・メディアHDによるグループガバナンスの機能の活性化のために何が必要なのかを理解していないこと(あるいは、理解しているけれども目を逸らしている姿)を露呈してしまったのです。
これもまた世の中の人たちの目には「この人たちに任せていても抜本的改革はできない」と映り、「期待外れ」と感じさせた要因の一つです。