フジテレビ再会見、露呈した3つの問題 危機管理広報のプロが解説

3.会見の仕切りが不十分

会見が10時間を超えるに至った原因の一つには、1回目の会見の失敗を踏まえ、フジテレビが時間無制限で行ったこともあります。

その結果、同じ趣旨の質問を繰り返す記者、他の記者と同じ内容を質問する記者、質問とは言えない自己主張を蕩々と述べるだけの記者、指名していないのに不規則発言をする記者、今回の問題点やガバナンス、「ビジネスと人権」について理解していないまま質問する記者などが現れました。そのため、SNSでも会見の中盤からは記者を批判する声が目立ちました。

1回目の会見を閉鎖的な方法で行ったことに対する反省を踏まえ、十分な質疑応答の時間を確保した姿勢は評価できます。しかし、十分な質疑応答の時間を確保することと、意味のない質問で無駄な時間を費やすことは別ものです。

危機管理広報、特に記者会見を行う場合、企業は不正・不祥事を起こした引け目を感じ、会見の場を仕切ることに躊躇してしまうことがあります。特に、時間を理由に会見を途中で打ち切れば「逃げた」との誹りを免れないため、打ち切りを躊躇することも考えられます。

そうはいっても、記者会見は「メディアによる公開リンチ」の場ではありません。企業が発信した情報だけでは情報が不足していると記者が判断した場合や企業が本質から逃げていると記者が感じた場合に、問題点を深掘りし、核心を突く質問をして追及していく場です。それらのやり取りを通じて企業トップの姿勢を示し、最終的に世の中の人たちからの信頼回復に繋げていくのです。

そのため、実のある質問で時間がかかっているときには司会進行役が遮ることは避けるべきだとしても、意味のない質問で時間が費やされているときには司会進行役が仕切ることを躊躇しないでほしいです。もちろん、ある程度の重複質問については受け入れた方がよいとは思います。しかし、しつこく何度も重複している質問にはその旨を指摘する、持論を延々と述べるだけの記者の話を遮って軌道修正させる、指名していないのに不規則発言をしている記者を制止するなどの仕切りは、司会進行役が積極的に行って問題ありません。

最近は記者会見の様子をネットで配信している企業も増えてきました。会見での質疑応答の様子を見ると、記者に問題があるときには、配信サイトのコメント欄やSNSで記者が批判されているケースも少なくありません。世の中の人たちは想像以上に中立的な目線で見ています。決して、卑屈になって、意味のない質問や持論を述べているだけの記者の言いなりになって会見を進行する必要はありません。

企業の広報担当者は、フジテレビの一連の広報対応を他人事として眺めるのではなく、「自社で類似案件が起きたら、どのタイミングで何をどうしたらいいか」とシミュレーションしながら見ると、万が一の時に向けたよい勉強になるのではないでしょうか。

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弁護士 浅見隆行(あさみ・たかゆき)

1997年早稲田大学卒。2000年弁護士登録。中島経営法律事務所勤務を経て、2009年にアサミ経営法律事務所開設。企業危機管理、危機管理広報、会社法に主に取り組むほか、企業研修・講演の実績も数多い。


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