社会のあらゆる場にUXを浸透させたい 「心地よい世界」を設計するIDEALの想い

「人に寄り添うデザインで 明日を気持ち良く心地よい世界に」を掲げる、たきコーポレーションのUXデザインカンパニー「IDEAL(アイデアル)」。同社にはアートディレクターやコピーライターなど、クリエイティブ領域のプロフェッショナルが所属し、クライアントワークや自社イベントの開催を通し、“UXがあたりまえにある社会”を目指している。制作会社を出自とする同社が提供する「UX」の在り方とは。
写真 人物 集合 (左から)たきコーポレーション UXデザイン制作部門カンパニー IDEAL UXディレクター 小林秀彰氏、同 部長・アートディレクター 長山大樹氏

(左から)たきコーポレーション UXデザイン制作部門カンパニー IDEAL UXディレクター 小林秀彰氏、同 部長・アートディレクター 長山大樹氏

コンセプト設計からサービス運用まで伴走

たきコーポレーションは2023年3月、同社の新たな事業領域である「UXデザイン」サービスの強化を目的として、UXデザインカンパニー<IDEAL(アイデアル)>を設立した。主な事業はサービスの新規開発や既存サービスの改善。アプリやWebサイトの開発、さらに空間の設計やサービスの仕組みづくりなど、企業をはじめとする「体験」に関わる、あらゆるプロジェクトに伴走する。

設立時の代表はクリエイティブディレクターの藤井賢二氏。制作会社として創業し60年以上の歴史を持つクリエイティブカンパニーのたきコーポレーションが、いま「体験設計」のサポートに着目した理由はどこにあるのか。

「たきコーポレーションは1960年の創業以来、グラフィックから広告、映像と制作領域を広げてきました。60年超の歴史のなかで、最も大きな世の中の変化といえば、スマートフォンの登場です。日常生活、そして人生を送るうえで、人々はさまざまな場面でスマートフォンを通じてサービスを享受するようになりました。スマートフォンを介し、デジタルとリアルの世界の融合も進むなかでは、OMOと言われるようなシームレスな顧客体験も求められる。この時ユーザーは、何を感じて、どのように動くのか。こうした流れのなかでクリエイティブの分野でも、見た目のデザインだけではなく、“体験”の設計まで行う必要が出てきています。<IDEAL>はそのようなニーズを反映して生まれました」(小林氏)。

例えば三井不動産のシェアオフィス「ワークスタイリング」のリブランディングでは、顧客体験の設計・デザインを支援した。プロトタイプの作成やユーザーテストも含めた改善・施策の提案を行っている。

「<IDEAL>ではプロジェクト全体を俯瞰してサービス全体のコンセプトや仕組みを設計することもあれば、POPに載せる言葉ひとつにクローズアップすることもあります。一度つくったものをより使いやすくするために、クライアントと共に改善点を探っていく。リリース後の運用まで中長期的に伴走するスタイルは、これまでのたきコーポレーションではなかった<IDEAL>ならではの特徴です」と長山氏は話す。

バズワードになり10年、いま改めてUXが必要な理由

UXの概念が日本国内で普及したのは2000年頃のこと。マーケティング業界においては2010年頃、モノ消費からコト消費への移行が進んだタイミングでバズワードとして注目されるようになった。

グラフ その他 UXとUIの考え方

UXとUIの考え方
主にWebやソフトウェア開発の分野において「UI(ユーザーインターフェース)」と共に語られてきた背景から、「UI/UX」のように同義語で呼ばれることも多い。「UXデザイナー」の肩書きを持つ小林氏自身は、グラフィックデザイナーを経てUIも含むアプリやWebサービスのデザインへと業務領域を広げてきたが、「UIとUXは分けて考えた方がよいのではないか」と話す。「UXとは、商品・サービスとユーザーとの間に生まれるすべての事象を指します。そこには外観や操作性に関わるUIだけではなく、例えばアプリをダウンロードするための手順や、店舗やイベントでの体験も含まれています」(小林氏)。

その一方で、UXの重要性は分かっていても、どのように社内に導入・浸透させたらよいか悩んでいるという声は多いと小林氏。企業内のデザイナーに対してツール活用に関する講座を開くこともあるが、UXへの向き合い方に関する、社内全体に向けた研修の需要も感じるという。

「優れた体験価値をつくるには、アプリやWebサイトの開発者だけではなく、店舗のスタッフ一人ひとりまでUXの考え方を浸透させる必要がある」と長山氏。顧客接点のすべてでUXを意識することで一貫性のあるブランド体験を提供できるとともに、組織全体が常に顧客視点で考え、行動することにもつながる。同社が目指すのは“UX”という言葉すら使われなくなる世界。「UXに優れたデザインを目指すのではなく、UXが優れていて当たり前の状態をつくりたい」と長山氏は話す。

イベントや講座で社会への浸透を図る

2024年3月には、日本デザイン振興会主催の「第3回 GOOD DESIGN Marunouchi 公募企画展」に選出された企画展として「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」を開催した。

写真 店舗・商業施設 人生の大切なことをゲームから学ぶ展

イベントを通じたUXデザインの普及
ゲームには様々な体験設計の工夫がなされていることから生まれた「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」。会場では人生の中で誰もが体験するであろう【成長、勝利、仲間、困難、お金、挑戦、時間、考え方】をテーマにした同社オリジナルゲーム8作品をプレイできる。またゲームにまつわるアンケート結果やUX・ゲームの専門家のインタビュー、ゲームに親しんできた各界のトップランナーのコメントなどを展示。2024年3月~4月に東京、9月に名古屋、12月に京都で開催され、延べ2万人近くを動員した。

また京都精華大学では、1年生を対象とした「UXの基礎を学ぶクラス」、3年生を対象とした「社会実践実習UXデザイン×伝統工芸クラス」の講座を開講し、それぞれ小林氏と代表の藤井氏らが講師を務める。さらに2024年10月には、同大学内で「Learning UX Design Conference in KYOTO」を開催。UXの学び方に焦点を当てて、クライアント対談や前述の講義の成果発表の場を設けた。

11月にはUXインテリジェンス協会(UXIA)の認定パートナーにも正式認定された。UXIAの認定パートナー制度は、社会全体への「UXインテリジェンス」の普及を加速させることを目的としたもの。加入団体間での最新事例の共有や、UXIAが作成するツールの活用により、さらなる普及を目指していく。

UXデザインのすそ野を広げよりよい社会へ

2025年度も、京都精華大学での講義の継続が決まっている。また講義資料を基にした、初学者向けの書籍も鋭意執筆中だという。

「路線検索をして移動したり、デリバリーサービスを利用したり、支払いや引越しをしたり。現代社会において私たちの生活、さらには人生は、あらゆるサービスの組み合わせで形成されていると言っても過言ではありません。クリエイターや企業の間でUXデザインのすそ野が広がることで、よりよい商品やサービスが増え、人々の生活、ひいては社会が豊かになる。例えば街の鮮魚店を丸ごと設計してみたいという話もしているんです。今後もたきコーポレーションのコアコンピタンスを活かしながら、世の中の仕組みづくりに、寄与していきたいと考えています」(長山氏)。

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