※本稿は『広報会議』2025年3月号の記事を転載しています
全国で定員割れの私立大学が増える中、神田外語大学でも、2019年度まで右肩上がりだった志願者数がコロナ禍を契機にマイナス成長に。海外留学に行けず、学内で対面コミュニケーション活動もできないなど本学の強みが機能しない事態に陥りました。
また18歳人口の減少から、各大学の募集戦略も変化。「年内入試」(学校推薦や総合型選抜)の出願者が激増するなどし、根本的な入試戦略の見直しが必須となっています。
本学でも、新たな魅力づくりや募集活動について議論を重ねた結果、資料請求者数を追うのではなく、本学の魅力を1人でも多くの人に訴求して共感を呼び、「第一志望で絶対に入学したい」受験生を集めることを重視。「第一志望者の拡大」に向け、①非効率なアナログ業務を廃止、②有効なヒューマンタッチは継続、③未着手のデジタル領域を促進という3本柱で、受験生・保護者向け、高校・塾向け、高校教員向けの3チャネルに分けて対応策を練っています。
受験生・保護者向けの広報活動では、オープンキャンパスの運営を大幅に見直し、教職員と学生が対等に議論し、相互に責任感を持つ役割分担を強化しています。個別相談のどの内容が出願につながったかも分かる環境を構築中です。高校への訪問時は可能な限り同校出身の在学生に同行を依頼しており、進路指導教員からの評判も抜群です。
また、本学では、全国の高校の英語教員として輩出している400人以上の卒業生を通じて、本学を知る高校生も多い現状があります。卒業生教員の満足度向上を目標に、本学での英語教授法の学び直しの機会を創出するなどファンづくりに邁進しています。
注力しているのはデジタルマーケティング領域。2025年初夏に刷新予定の大学サイトを起点に、高校生を「大学0年生」として育成する計画です。本学を発見した人が圧倒的なファンになってくれるまで、魅力を発信し続ける「メディアとしての活用」を意識しています。弱点だったデジタル分野では、学生募集に特化していない外部パートナーと組んで学生募集DXを進め、CRM(顧客管理システム)の活用法も見直しています。
大学サイトを2025年初夏に刷新し、オウンドメディア化を予定。オープンキャンパス告知やニュースなどが並ぶ既存の大学サイトのイメージとは一線を画す。トップページから「学び」のあるサイトとして、訪れるたびに発見のある教育コンテンツを充実させていく。高校生を「大学0年生」として捉え、サイトを起点に圧倒的なファンへと育成していきたい考えだ。受験生の保護者や高校教員ともつながり続ける設計を計画中。
2024年4月実施の入学時全員アンケートでは、第一志望者入学率が80.5%を記録。同年の卒業時アンケートでは、9割以上が学生生活に満足と回答し、卒業生対象ホームカミングデーも過去最大の参加人数を得ました。今後もステークホルダーのファン化により、広告に頼らない好循環の出願サイクルを実現したいですね。
私立大学では、一にも二にも「選ばれるための魅力づくり」が必須です。自身の市場価値を正しく分析し、経営陣へ具申することも広報部門の責務と考えています。
