ジュエリーブランドでキャリアをスタート
――キャリアのスタートは「何でもやる広報」だったとか。
ファッション業界に興味があり、大学卒業後、2007年に国内のジュエリーブランドに就職。店舗販売を経験したのち、広報宣伝部に配属されました。ジュエリーは購入に大きな決断を伴うことも多い商品だからこそ、お客さまの心を動かす難しさと喜びを知りました。
当時は広報や宣伝ツールにおけるデジタル活用の進化が目覚ましい頃でした。プレスリリースの発信や企業メッセージCMの企画などの従来の広報業務を行いながら、新しいことにも挑戦し続けました。SNSの公式アカウントを開設したり、Yahoo!やGoogleのターゲティング広告についてゼロから仕組みを勉強して運用したり、自社ECサイトのリプレイスも行ったり。今思えば、当時から「広報」の肩書きにとらわれずに働いていましたね。
UCCジャパン
サステナビリティ経営推進本部EC推進室 室長
小坂朋代(こさか・ともよ)氏
2007年、新卒でジュエリー会社に入社。広報、広告の運用や企画、デジタルマーケティングに12年間従事。2020年にUCC上島珈琲へ入社し、マーケティング本部 デジタル推進部 係長として、楽天市場やAmazonなどのECモールを担当。2022年より「YOINED」プロジェクトマネージャーに就任。現在はUCCジャパンに在籍し、EC業務とプロジェクトマネージャーを兼務。
私は、広報の本質はいつ拾われるかわからない小さな種を、お客さまの中にひたすら蒔き続けることだと考えています。種、つまり施策がうまく芽を出せば、お客さまの心を動かせる。私は「売る」より「伝える」コミュニケーションになるよう、一つひとつこだわりました。
忙しかったですが、手がけた施策により商品の魅力がお客さまに届き、瞬く間に店頭からなくなる体験をすると、大変さなんて忘れてしまいました。
――12年も勤めた会社からなぜUCC上島珈琲へ?
トライアンドエラーがしたかったからです。ジュエリーは購入頻度が低く、裏を返せば、多くの挑戦や失敗を繰り返して改善していく、試行錯誤がしにくい商材でした。スキルアップのため、次は購入頻度の高い商材に挑戦したかったんです。
2020年にUCC上島珈琲に入社しました。コーヒー豆の直販店舗とECをつなぐOMO戦略担当として、マーケティング本部に配属された直後、コロナ禍に突入。急遽、オンライン施策に注力する方針に変わり、ECモールでの商品認知や売上拡大の戦略立案業務を任されました。
しかし、当時の私はECモールの知識はゼロ。しかも在宅勤務になり、受け身の姿勢では情報を得ることすら難しい状況に。そこでひたすらTeamsで社員に連絡し、教えを乞うことから始めました。そして、前職で学んだブランディングと、販促を組み合わせた施策設計を行い、規模と認知の拡大を図りました。その結果、あるモールでの売り上げを3年で3倍以上に伸ばすことに成功。その後も新規モールへ出店するなど、EC開拓を推進していきました。