広報の「年間計画」作成、手順・項目・タイミングは? 広報活動の実態調査

「つい、前年踏襲をしてしまう」「複数の部署との連携が難しい」「予定通りに進むことがない」など、広報計画を立てる上では様々な課題が生まれます。実務を担当する広報担当者は、どのように計画を立てているのでしょうか。

月刊『広報会議』では、企業・団体の広報担当者を対象に「広報・PR活動に関する調査」を実施(有効回答103件、調査期間2024年11月~12月、インターネット調査)。2025年2月号『広報会議』で調査結果をレポートしています。

本稿では「年間計画」に関する、広報担当者の声を掲載します。「年間の広報計画を立てていますか」という質問では72.8%が「立てている」と回答しました。

イメージ グラフ 年鑑の広報計画を立てていますか?

年間計画の作成手順は?

▶年間の計画を立てるタイミングは、期初・年度はじめ。PRマネージャーが戦略・戦術を立案し、取締役に承認を得る。その内容は、競合・メディアの状況含むPEST分析、基本方針、施策、施策実行のために必要な予算・ツール、体制、年間カレンダー、Qごとのマイルストン。計画の見直しはQごと。他、体制変更があるタイミング(メンバーの入退職)や事業戦略がチューニングされたタイミングで見直す。(シンクタンク・コンサルティング/50人未満)

▶コーポレート・コミュニケーション、マーケティング・コミュニケーションの2種類の計画を作成。12月より着手。経営陣との会話や各事業部の現場感、年末の各紙の翌年予測特集を踏まえて、計画のたたき台を作成する。たたき台を元に経営陣との1on1で意見を回収し、調整していく。四半期に一度の目安で見直す。(IT・情報通信/100~500人未満)

▶各事業部が期初の方針を固めた後、ヒアリングを実施し、新製品や新たな事業展開、出展する展示会等のトピックスを盛り込んで広報計画を策定。(自動車・機械/1000人以上)

▶年度の始まりに向けて、方向性のディスカッション~目標・KPIの設定を行っている。半期に一度ディスカッションの機会を設け、調整。定量定性の両面で目標を設定し、同時にメディアリレーションにおける重点媒体設定の見直しも実施している。(IT・情報通信/100~500人未満)

▶経営課題とPR課題、中期経営計画のゴールからPRがどう貢献できるか、現存するPR課題をどのように改善していくか(所感と第三者機関による広報調査から)、何から始めていくべきか、具体的なPR/IRの目標、年間スケジュール作成(分かっているものだけ)、どうやっていくか等を計画。見直しは具体的に新規リリースや案件の話が出てきたときに都度。(サービス/500~1000人未満)。

▶社名認知度に関する施策は年末年始をピークとして調査し、結果に基づき次年度(4月~)に向けた施策や予算を決定する。広報・IRの取り組みは掲載記事数や株主数、ウェブサイト訪問者数などの各種KPIに基づき次年度に向けた施策や予算を決定する。(素材/1000人以上)

▶期初に事業計画に合わせて1年間のざっくりとした広報活動カレンダーをつくる。関連のある社会の動きや法改正、イベント等も書き込む。(医療・介護/100~500人未満)

課題・悩みは?

▶計画を立てても、営業や企画サイドでの工期遅れ等に左右され、予定通り進むことが少ない。(不動産/50~100人未満)

▶大手メディアへの掲載や取材依頼がバンバン来るものと誤解している上層部と、地道にコツコツと小さなメディアから広げていきたい広報部門との間で、行き違いが生じている。(IT・情報通信/100~500人未満)

▶SDGsやインターナル・エンゲージメント向上施策は人事・総務がやるべきか、広報がやるべきか曖昧。予算取りや、人的コスト、労力等の配分の調整にもかかわるのではっきりさせたい。(教育機関/500~1000人未満)

▶ひとり広報のため、業務が属人化してしまっている、かつ万年リソース不足。継続的な情報発信をして自社のポジションを確立するためにも、増員して組織化を図りたい。(IT・情報通信/100~500人未満)

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