全日本広告連盟は2月4日、広告界の発展・向上に貢献した企業や広告・メディア関係者、クリエイターらを称える「全広連日本宣伝賞」の受賞者を発表した。
広告主企業を対象とする「松下賞」はダイキン工業の井上礼之名誉会長に贈られる。「正力賞」は河北新報社の一力雅彦社長、「吉田賞」は新東通信の谷喜久郎会長、「山名賞」はアートディレクターの奥村靫正氏がそれぞれ受賞した。
贈賞は、5月15日に福井市のフェニックス・プラザで開催される「第73回全日本広告連盟福井大会」式典内で行う。
松下賞
ダイキン工業で代表取締役社長、代表取締役会長兼CEOを経て、2014年から2024年まで取締役会長兼グローバルグループ代表執行役員を務めた。2019年には旭日重光章を受章した。
社長就任時に約4000億円だった同社の売上高を4兆円超に押し上げ、積極的な広告展開のほか、今年で38回を数える「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」など、スポーツやエンターテイメントに対するスポンサー活動を長年幅広く実施。環境保護やエネルギー効率を重視する企業として環境に優しい製品等を訴求するキャンペーンを展開、環境を意識した広告制作の重要性を示した。1997年から続くドア上広告活動や、2016年からは「空気で答えを出す会社」というビジョンを打ち出し継続して広告活動を実施するなど、ブランドイメージの構築や社会的課題への対応を通じて、広告が持つ可能性を広げる役割を率先して果たしてきた点が高く評価された。
正力賞
2005年より現職。広告を単なるプロモーション手段ではなく、地域社会の課題解決やブランディングに役立つものとして位置づけた。特に東日本大震災後に、復興のための情報発信に積極的に取り組み、特別広告企画「今できることプロジェクト」を立ち上げ、企業や自治体が広告を通じて支援活動や復興メッセージを発信する場を提供。同社を広告界において重要な存在とし、その発展を牽引した点が高く評価された。
吉田賞
創業者として1972年に新東通信を設立。ローカルの個性と独立性を活かし、都市型シティマラソンの先駆けとなる名古屋シティマラソンの開催や名古屋城の活性化など、名古屋市を中心とした地域創生に積極的に取り組んでいる。またフリスビーの普及や「サン・ジョルディの日」キャンペーンなど、愛知県から日本全国、そして世界に向けて人の心を動かす仕事を次々と打ち出す。広告界の第一線を永年走り続けている、その功績が高く評価された。
山名賞
桑沢デザイン研究所卒業後、1970年にWORKSHOP MU!!設立に参加。1977年ザ・ステューディオ・トウキョウ・ジャパン(現TSTJ)を設立した。アーティストのアートディレクション担当や広告、書籍、雑誌など、活動のフィールドを広げる。1982年からADC賞を4 回受賞。2014年ADC会員賞受賞。2005年女子美術大学芸術学部ヴィジュアルデザイン専攻 教授に就任、2014 年より客員教授。神戸芸術工科大学 客員教授、東京TDC、JAGDA会員。そのアーティストやアートディレクターとしての長年にわたる多彩な創作活動が高く評価された。
