オムロンからスタートアップに移籍 人間力を磨くことが広報キャリアを拓く重要な要素(大西栄樹さん)

Q4:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何?

キャリア形成の手段として転職や昇進といった場面での悩みとして、ここでは3つ挙げたいと思います。

1. 広報の成果を数値化しづらい
広報の永遠の課題は、「効果測定が難しい」ことです。マーケティングや営業と違い、広報の目標や評価指標は企業ごとに異なり、財務諸表にも明確に反映されません。転職や昇進といった場面で、広報の価値を適切に評価してもらうことが難しいことが悩みの一つです。

2. 「広報=メディア露出」というイメージ
広報の価値が「メディア掲載数」で測られがちですが、それだけでは企業価値向上にはつながりません。経営層から「◯◯のメディアに出られるようにして」などと言われるケースがあるのも知り合いの広報さんからよく聞きます。

もちろん、メディアリレーションは大事ですし、それを強みにメディア露出を獲得できることは重要ですが、広報の価値はそれだけではありません。

日本広報学会が、広報とは「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能」と定義したように幅広い業務範囲があります。

広報は単なるメディア露出だけの活動ではなく、企業のステークホルダーと良好な関係を築く様々な施策や活動であるという認識がまだまだ低いことが二つ目の悩みです。

3. 広報パーソンのスキル・能力開発
今後のキャリアを見据えてどのようなスキルや能力開発をするべきかという悩み。メディアリレーションのスキルだけでは、広報のキャリア形成は難しいです。

私は、広報パーソンは極めて面倒くさい人間関係のど真ん中で、利害を調整し、最終的なアウトプットにつなげる人間力が特徴だと考えています。今後、プレスリリース、記事制作、SNS運用など広報業務はAIがどんどんサポートしてくれます。しかし、ステークホルダーの調整などの人間関係の部分はAIにはなかなか難しいでしょう。だからこそ、広報パーソンとしての人間力を磨くことがキャリアを拓く重要な要素になると考えています。

Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?

今後はより経営の一つの機能として、「コミュニケーション」という手法で企業価値を高めるような取り組みをしていきたいと思います。LAPRASは、日本のデジタル化の鍵を握るエンジニアと企業の転職・採用のマッチングを進めています。日本だけでなくグローバルでのマッチングにも拡げ、人材面から日本を支える存在を目指しています。そんなLAPRASの価値を伝え、高めていくことにチャレンジしたいと思います。経営の視点からマーケ、広報などを統合したコミュニケーションへと進化させていきたいと思います!

さらにその先で自分の興味のある分野としては、地方の魅力をコミュニケーションによって高めることです。自分自身が兵庫県の田舎に住んでいることもあり、地方の可能性を日々感じています。広報パーソンの特殊能力は、「ステークホルダーとのより良い関係作り」です。広報パーソンだからこそ地方でできることがあると確信しているので、少しずつ形にしていこうと思います。

【次回のコラムの担当は?】

バリュエンスホールディングスの白井優子さんをご紹介します。

白井さんはIT企業で営業などを経て、オリジナルウェア・グッズの製造販売を行う会社で広報室を立ち上げ、社長と二人三脚で、社外・社内広報の両方を推進。その後、現在のバリュエンスホールディングスへ転職して広報チームのマネジメントをされています。広報としてTVなどの幅広いメディア対応の実績とマネジメントへ移られていくキャリアは多くの方に参考になるはずです!

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