広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。今回は、2022年度のTCC新人賞を受賞した花田礼さんです。
僕が若手の頃は、「いま活躍してるあの人、新人賞の時、どういう仕事で獲ってたんだろう?」という視点で過去のコピー年鑑を見るのが好きでした。なぜなら多くの場合、当時と今で作風が変わっているからです。
「え、あの人、昔はこんなヤンチャな企画やってたの!?」
ということもたくさんあり、若手のあるべき戦い方を学べます。僕は過去のコピー年鑑をたくさん見た結果、
「若手が打席に立てるのは低予算の場合が多いから、TUGBOATの仕事や福部明浩さんのカロリーメイトみたいな上質な良い仕事を目指すのは分が悪い(目指しても劣化版しか生まれない)」
「感動寄りのものはクラフト力が重要だから、低予算では分が悪い。真っ当なコピーだとしても、人生経験積んだベテランの方がうまそう。例外はアリ」
「狙う感情としては『笑い』方向のほうが粗くても成立しやすいから有利。あとは、コピーのうまさというよりは、その手前の構造面で新しさや変さがあったほうが有利。例外はアリ」
といったようなことを学んだような気がします。
上記はあくまでも、僕個人のバイアスが大いにかかった感想なので、真に受けないでいただきたいのですが、そのように、若手の方にとってコピー年鑑を過去からたどることは「広告人としての生存戦略の教科書」にもなるのではないかと思います。
あと、分厚くて高いからか、意外とちゃんとコピー年鑑で勉強してる人少ない気がするので、チャンスだと思います。勉強と言いつつ、僕は見るのが単に好きなのですが。
中堅になった今でもコピー年鑑から学ぶことは多いです。
広告制作がうまくなる方法のひとつは「第一線を走る人たちの思考を知り、自分の脳内にインストールしてみること」だと思っており、コピー年鑑には、その年の良い広告がたくさん載っているだけでなく、それぞれの広告に対する審査員たちのコメントが載っています。TCC年鑑以外で、これはなかなか世に出てこないです。
第一線の人たちが良い広告を分解・言語化してくれているので、自分の脳内にもインストールしやすく、自分で企画する際の再現性を高めることに役立つと思います。
今年も、これからじっくり読み込むのが楽しみです。
