若手の頃に生存戦略を学びました(文・花田礼)

東京コピーライターズクラブ(TCC)が主催する、コピーの最高峰を選ぶ広告賞「TCC賞」。その入賞作品と優秀作品を収録したのが『コピー年鑑』です。1963年に創刊され、すでに60冊以上刊行されています。
広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。今回は、2022年度のTCC新人賞を受賞した花田礼さんです。

僕が若手の頃は、「いま活躍してるあの人、新人賞の時、どういう仕事で獲ってたんだろう?」という視点で過去のコピー年鑑を見るのが好きでした。なぜなら多くの場合、当時と今で作風が変わっているからです。

「え、あの人、昔はこんなヤンチャな企画やってたの!?」

ということもたくさんあり、若手のあるべき戦い方を学べます。僕は過去のコピー年鑑をたくさん見た結果、

「若手が打席に立てるのは低予算の場合が多いから、TUGBOATの仕事や福部明浩さんのカロリーメイトみたいな上質な良い仕事を目指すのは分が悪い(目指しても劣化版しか生まれない)」

「感動寄りのものはクラフト力が重要だから、低予算では分が悪い。真っ当なコピーだとしても、人生経験積んだベテランの方がうまそう。例外はアリ」

「狙う感情としては『笑い』方向のほうが粗くても成立しやすいから有利。あとは、コピーのうまさというよりは、その手前の構造面で新しさや変さがあったほうが有利。例外はアリ」

といったようなことを学んだような気がします。

上記はあくまでも、僕個人のバイアスが大いにかかった感想なので、真に受けないでいただきたいのですが、そのように、若手の方にとってコピー年鑑を過去からたどることは「広告人としての生存戦略の教科書」にもなるのではないかと思います。

あと、分厚くて高いからか、意外とちゃんとコピー年鑑で勉強してる人少ない気がするので、チャンスだと思います。勉強と言いつつ、僕は見るのが単に好きなのですが。

中堅になった今でもコピー年鑑から学ぶことは多いです。

広告制作がうまくなる方法のひとつは「第一線を走る人たちの思考を知り、自分の脳内にインストールしてみること」だと思っており、コピー年鑑には、その年の良い広告がたくさん載っているだけでなく、それぞれの広告に対する審査員たちのコメントが載っています。TCC年鑑以外で、これはなかなか世に出てこないです。

第一線の人たちが良い広告を分解・言語化してくれているので、自分の脳内にもインストールしやすく、自分で企画する際の再現性を高めることに役立つと思います。

今年も、これからじっくり読み込むのが楽しみです。

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花田礼(はなだ・れい)

(2022年TCC入会)

電通 Creative KANSAI プランナー。近年のお仕事→マクドナルド「夜マックアニメ」「いまだけダブチ食べ美」「夜の坂道」、サントリー天然水「Time in the Water」、サントリーBOSS「コーヒーニューニュー」、ソフトバンク「神ジューデンガール」「響く人には響くニュース」、USJ「ユニ春」「ユニハロ」、カップヌードル「9分割CM」、YOASOBI「アドベンチャー」MVなど。

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東京コピーライターズクラブ(TCC)
東京コピーライターズクラブ(TCC)

東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体。毎年、前年度に実際に使用された広告の中から、優秀作品を選出。その制作者を「TCC賞」受賞者として発表し、受賞作品のほか優秀作品を掲載した『コピー年鑑』を発行している。TCC新人賞審査に応募し、新人賞を受賞することで入会資格が得られる。2024年度の編集委員長は、尾形真理子氏。『コピー年鑑2024』の詳細はこちら

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東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体。毎年、前年度に実際に使用された広告の中から、優秀作品を選出。その制作者を「TCC賞」受賞者として発表し、受賞作品のほか優秀作品を掲載した『コピー年鑑』を発行している。TCC新人賞審査に応募し、新人賞を受賞することで入会資格が得られる。2024年度の編集委員長は、尾形真理子氏。『コピー年鑑2024』の詳細はこちら

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