都心の狭小店舗とロードサイド店で収益拡大を目指す「100店舗構想」
━━野尻さんがCEOになったのは、パンチョ創業から5年後ですね。
私が事業を担当することになった頃のパンチョは、成長がくすぶっているようなタイミングでした。今では都心のビル内店からロードサイド店まで41店舗を構えるパンチョですが、その当時は直営の6店舗にとどまっていました。でも、収益は安定していて。そこからもう一歩成長するためには店舗を増やすことが必要だったのです。そこで任されたのがフランチャイズ(FC)化でした。
そのときに注力したのが、経営戦略の立案。具体的には、“100店舗構想”の立案です。当社は現在上場していないので、あまり表立った中期経営計画はつくってこなかったのですが、会社としてどこを目指すのかを定め、FCオーナーへしっかり説明するための土壌を整えました。
━━「100店舗構想」とはどのような戦略なのでしょうか。
その名の通り、直営とFCで合計100店舗を出店するという構想です。2027年までに達成することを目指しています。
先ほどから申している通り、パンチョは男性会社員向けに創業したお店です。ターゲットを考慮して、都内の駅前を中心に、ビルの地下にあえて狭小な店舗を構えていたのが創業当時でした。
狭小店舗を出店する背景には、パンチョとその親会社が持つ「満席の美学」という考えがあります。満席の状態をつくるということは、すなわち行列ができるということです。しかも都心の地下の店舗に行列ができるわけなので、「こんなところに?」と気になると思います。
まさに人が人を呼ぶというようなイメージです。この「満席の美学」があるからこそ、都心では狭小店舗にしていたのですが、100店舗構想を実現するにあたっては、新しい形態での出店も進めています。
具体的には、郊外のロードサイド店の出店です。都内に出店している男性会社員向けの狭小店舗とは違い、ファミリーでも来店できるような広めの店舗出店を進めています。このような出店戦略を実行できるのも、老若男女問わず食べられるというナポリタンならではの特性があるからだと思っていますね。
今となってはロードサイド店の売上がどんどん上がってきていて、パンチョを支える大事な収益源です。ロードサイド店が好調の要因は、パンチョの「大盛り提供」という特性もかなり関係しています。
高崎店の外観。
パンチョでは、並(麺量400g)の価格でメガ盛り(600g)まで増量無料です。お子さまが複数人いるご家族で来店した場合、一皿頼めば小さなお子さまにはシェアできますし、それで満足いただける量です。つまり、ファミリーの利用者にとってはコスパが良い。これも、ロードサイド店が上手くいっている理由のひとつだと考えています。
都心では男性を中心としたオフィスワーカーに、そして郊外ではファミリーにというように、両軸で出店を進めていき、さらなる利益拡大を目指していきます。
経営者の顔が見えるチェーン店 社長自身が広告塔になる理由
━━最後に、今後の注力方針があれば教えてください。
前に述べた出店拡大ももちろん進めていきますが、パンチョの認知獲得にも力を入れていきます。目安としては、100店舗に到達するときには、認知度が30%になっているようにしたいと考えていますね。
大手チェーン店では認知度が60%を超えるところも多いですが、やはりそれは店舗数に比例するところもあって。要は「最近よく見かける」と思ってもらうことが必要なのです。だから出店拡大は重要なのだと思います。
他にはSNSやデジタル活用による認知獲得施策も注力しています。私自身、CEOでありながら「パンチョ大王」として当社のTikTokやSNSによく登場しているのですが、経営者が広告塔になる意味は――
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