フジテレビはどこで対応を誤った? 危機管理と謝罪会見を評価する

視聴者へのメッセージがなかった

真美:あの10時間の会見、一般視聴者の間にも疲弊感が広がり、会見自体への関心が希薄化していきましたよね。私が気になったのは、視聴者へのメッセージが感じられなかったことです。メディアや投資家、社員などへの説明はあったにせよ、テレビ局にとって視聴者は重要なステークホルダーのはず。足元の対応に追われてその存在を忘れていたのではないでしょうか。

━━記者会見以外での対応についても問題がありました。

信之:不祥事で社長や会長が自宅前で取材を受けるのは、広報としては絶対に避けたい絵ですよ。何も喋らせずに「近々会見を開きます」とだけ伝えて、さっさと車に乗り込ませる。「具体的な発言は会見の場で」として。あれだけベテランの経営陣が、なぜあのような対応になったのか理解に苦しみます。

三菱UFJ銀行の「貸金庫事件」の際の半沢淳一頭取のように、路上で取材対応するのはダメですね。カラスがカーカーと鳴いている中で、社長が喋っている映像が全国放送では、経営トップの威厳も何もありませんよ。他で説明の機会を設けますと話してもらうべきでした。そもそも論として、適切な時期に謝罪会見を行えば自宅まで追いかけてこないはず。逃げるから追いかけられる。このメカニズムを理解してほしいです。

絵里子:フジテレビも今は色々と努力をしていると思います。中堅や若手社員を加えた「再生・改革プロジェクト本部」設立といった発表(2月6日)もしていますが、こうしたニュースは小さい扱いになりがちですよね。新体制での変化をアピールしていくのは正しいと思いますが、どうすれば大きく報じられるかが課題です。

記者の期待値を上回るサプライズ秘策とは?

真美:今は耐える時期です。1年は粛々と、第三者委員会の進捗状況などの事務的な発表に徹するしかありません。派手な動きは逆効果です。とにかく今は、記憶が薄れるのを待つしかないでしょう。

仁志:真美さんに賛成です。着実かつ誠実に、信頼回復に向けた施策を実行に移していくしかありません。第三者委員会の発表や株主総会に向けた情報公開など。その際に、発表内容に落ち度がないように細心の注意を払う必要があります。文春の謝罪についても、訴訟するかどうかの経営判断が必要になります。そこも広報の腕の見せ所ですね。

信之:正しい手順で広報活動していくことが大前提。ただ、あえて逆転満塁ホームランを狙うなら、サプライズで攻めるのもひとつの手かもしれません。トランプ米大統領のように、戦略的なサプライズで度肝を抜くような発表をすれば、メディアもそれどころではなくなる可能性もありますから。

たとえば、今まで逃げ続けてきた日枝久相談役と報道されたプロデューサーが自ら会見に出てきて真実を語る、あるいは日枝氏が辞任を表明するとか。メディア側もある意味混乱しますし、発表をそのまま伝えることになるでしょうから、報道内容の制御と形勢逆転ができるかもしれません。

絵里子:記者は意表を突かれるかも……。それにしても今回の件は、私たち広報にとっても大きな学びになりました。

仁志:第三者委員会の発表までは時間稼ぎできます。その間に、記者会見のシミュレーションを繰り返すといった、できる限りの準備をする。今回が良いチャンスだと捉えるべきです。

真美:視聴者や社内、メディアなどそれぞれのステークホルダーに向けた、適切なメッセージを準備しておく必要があります。

信之:とにかく今後は包み隠さず誠実な広報活動をしてほしい、のひと言に尽きますね。

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