広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。今回は、2016年度のTCC新人賞を受賞した伊藤みゆきさんです。
「若手の頃はぜんぜん仕事がなくて、とにかくインプットをがんばっていました」
というような若手時代が、自分にはありませんでした。
会社の方針の変化か、断れない性格ゆえか(99%こっち)、
色々な仕事に入れてもらって慌ただしく過ごす日々。
打ち合わせやプレゼンの日程は先輩たち優先になるから、
予定は昼間から埋まっていって、企画に時間を割けるのは必然的に深夜。
若手はコピー年鑑をまるまる写経するのがいいらしい、と聞いたけど
時間がかかりすぎて3ページくらいで挫折しました。
自分の中のインプットが少なすぎるのに
毎日アウトプットを求められる。
思考が体の中を巡らずに
反射だけで出ていっているような感覚になって
(そして全然企画が通らなくて)
ああなんとかしないとやばい、と思った。
苦し紛れにはじめたのが、
コピー年鑑の「今考えている商品の業種のページだけ」を
「複数の年代に渡って」読む、というやり方。
たとえば飲料の企画を考えていたら、
1990-2011の年鑑の飲料のページだけ読む、みたいなことです。
(コピー年鑑はほぼ業種ごとにページ立てされているから見つけやすい)
これが自分には合っていました。
自分的には新しいぞと思っていた言い回しが、
その業種ではむしろ使い古されていたことを知って。
どの企業の広告もなんか似通ってるなと思ったら、
そこから距離を置くような考え方をするようにして。
自分が考えつくことはだいたい、
若き日のレジェンドが20年くらい前に実践済みなこともわかりました。
壊すべき型とか超えるべき壁が、ちょっとだけ見えた気がしたんです。
余談ですが、ずっと後になってから、ある先輩が
自分と同じ読み方をしていたことがわかって嬉しくなったりもしました。
もし忙しさに目が回っていて
こんな分厚い本、買っても読む時間ないよ…という人がいたら
こういう読み方してた人もいたぞ、という参考として
思い出してもらえたら嬉しいです。
あと気持ちがダレてるときは、受賞者のコメント欄を読んで
気を奮い立たせるという別の使用法もありますよ。
