世界中で社会現象化! 韓国トレンドから学ぶ「必然的トレンド」

「韓国トレンド研究室」、第8回目です!今回は「韓国のトレンドの生まれ方」についてお話しします。

韓国は、日本よりもトレンドの影響力が大きく、広まる速さ、そして移り変わりもとても早いです。

昨今の日本では、(ドラマ回のコラムの際にも取り上げましたが)何かが流行った時に、「誰もが知っている」という流行り方ではなく、「特定の界隈」で流行ることが多いです。しかし、韓国では「全MZ世代が知っている」と言っても過言ではないような規模の流行が生まれやすいです。

『イカゲーム』や『白と黒のスプーン』のような大ヒット作から、SNSで日々生まれ続けるトレンドまで、ありとあらゆる流行の生まれ方を学ぶことで、企画の広まり方、必然的な話題のつくり方について考えていきたいと思います。

1. 食べ物から映像コンテンツまで、これまでの流行から分析!

第1章では、韓国で流行っている(流行った)ものをご紹介します。まずは食べ物編です。

ドバイチョコ

「ドバイチョコ」は、2024年上半期に韓国で大流行したスイーツ。名前の通り、ドバイのチョコレートブランド発祥で、『カダイフ』というトルコの伝統食品の極細麺とピスタチオを混ぜて作ったペーストが中に入っています。

ドバイチョコを展開するアラブ首長国連邦・ドバイのチョコレートメーカー「FIX Dessert Chocolatier」。

極細麺によって、チョコレートらしからぬザクザクとしたクセになる食感になっています。さらにこのザクザクの咀嚼音がモッパン動画にピッタリだったため、瞬く間に試食動画が広まっていきました。

마라탕(マラタン・麻辣湯)

「マラタン(麻辣湯)」は、もともと中国・四川発祥の伝統料理で、ここ最近生まれた料理ではありません。それが、2019年頃から韓国でブームになり、最近日本でもようやく人気になっています。

前提として、韓国の味付けは唐辛子がベースで、辛い食べ物になじみがあるというのはありますが、「バイキング形式のトッピング」も流行ったきっかけのひとつだと考えられます。

マラタンは野菜やきのこなどの具材がずらりと並んでいて、好みの具材をバイキング形式でボウルに入れていく方式が基本です。そのため、単に注文して食べるだけではなく、自分オリジナルのものがつくれるという「体験コンテンツ」にもなっています。

また具材の量によって、インパクトのある画づくりができるので、モッパン動画で食べるものとしても人気です。

栗ティラミス

最近、日本でも大人気だった料理ドキュメンタリー番組『白と黒のスプーン』で、ナポリマフィアという出演者が作った栗ティラミス。

「栗ティラミス」(CU公式Instagramより)。

番組放送は2024年9月17日~10月8日だったのですが、10月24日時点ではすでに韓国のコンビニ「CU」で発売が開始されていました。なんと発売初日、20分で2万個が完売したそうです。

タオルケーキ

「タオルケーキ」も元は中国発祥で、クレープ生地でクリームを包み、タオルのように巻いたスイーツで、2024年の年末から流行し始めていました。

「タオルケーキ」(CU公式Instagramより)

こちらも「CU」が1月16日から、2種類のタオルケーキを発売しましたが、なんとたった4日間で完売したそうです。

韓国には「남는 건 사진 밖에 없다(残るのは写真しかない)」という言葉があるほど、とにかく写真をたくさん撮る文化なので、少し前に流行ったティッシュのように1枚ずつ捲れる「ティッシュブレッド」など、ビジュアルのユニークさで流行になるものがたくさんあります。


さて、ここまでの4つは食べ物の流行りを紹介しましたが、次は映像コンテンツの流行について取り上げます。

イカゲーム

最近シーズン2が公開になり、日本でも持ちきりの話題だった、Netflixオリジナルの韓国ドラマ『イカゲーム』。12月26日に公開された『イカゲーム2』は全世界で話題になり、12月28日にはなんと(Netflixを正式サービス中の)全世界93カ国すべてで1位に…!

“デスゲーム”という特にめずしくはない設定でここまで人気になったのは、リアルな社会情勢・デスゲームにはあまりないポップでカラフルな画づくり・世界を見据えたマーケティング戦略などさまざまな要因があります。

白と黒のスプーン

抜群の味覚センスをもつ無名の“黒さじ”料理人80人が挑むのは、料理の世界で成功を収めた20人の“白さじ”料理人。100人の参加者による白熱の料理対決が幕を開ける――(Netflix番組紹介より)。

こちらはNetflixのバラエティ番組で、公開後に4カ国では1位、世界18カ国でTOP10入りし、韓国では社会現象化しました。

とても豪華なセットに、100人という大人数の出演者がいたことからアイドルオーディション番組同様に推しができたり、能動的に応援させる構成、コンビニなどとのコラボ…などなど、いろいろな要素が盛り込まれ、ヒット作になりました。

モッパン動画

主に食事をしている様子を撮影した「モッパン動画」は2010年頃に流行りました。もう15年ほどの歴史がありますが、安定でずっと人気のあるコンテンツです。

モッパン自体も人気のコンテンツですが、ここであえて少し前のトレンドを紹介しているのは、最近「×モッパン」でトレンドが生まれることが多いためです。

ドバイチョコレートもタンフルもマラタンも…、モッパン動画が人気になったことで、瞬く間に広がっていきました。


・・・続く後編では、これらの流行から見えてくる「トレンドが生まれる秘訣 10箇条」について紹介します!

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佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)
佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

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