就活の変化に合わせブランドリニューアル 29年ぶりの刷新、新「リクナビ」はどう生まれたか

2025年1月、抜本的なリニューアルを遂げた、リクルートが提供する2027年4月以降に就職予定の学生を対象とした、新しい「リクナビ」がリリースされた。サービスの本質から見直し、学生一人ひとりが納得感のあるキャリア選択をサポートするための大幅刷新だ。リクルートが協力を依頼したのはユニットベース。1年半に及ぶプロジェクトのなかで、どのように「リクナビ」の新たなブランドを築き上げていったのだろうか。ユニットベースとリクルートの両社に話を聞いた。
写真 人物 集合 左から、ユニットベースの永井大輔氏、宮内一政氏、上村正敏氏、リクルート デザインマネジメント1部(HR)の井上賢治氏。

左から、ユニットベースの永井大輔氏、宮内一政氏、上村正敏氏、リクルート デザインマネジメント1部(HR)の井上賢治氏。

情報過多の時代に合わせて刷新 自分に合う仕事探しをサポート

1996年のサービス開始以来、多くの学生の就職活動を支えてきた「リクナビ」。1962年に就職情報誌として誕生し、1996年にWebサイト化し、「リクナビ」がスタートした。時代と共に変化を遂げ、常に学生にとって最適な情報提供の形を模索してきた。

今回、29年ぶりとなる大幅刷新の背景には、社会の多様化と学生を取り巻く環境の変化がある。リクルートデザインマネジメントグループの井上賢治氏は、「従来、私たちはより多くの情報を提供することこそが学生に提供できる価値だと思っていました。しかし、情報過多社会のなかで、『どんな仕事が自分に合っているのかわからない』という悩みを抱える学生は少なくありません。多様化する社会の中で、学生一人ひとりが自分らしいキャリアの軸を見つけられるよう、サービス全体を刷新する必要性を感じていました」と語る。

新しい「リクナビ」は、「社会への一歩目を、もっと自分らしく踏み出すことが出来る世界へ」という世界観のもと、コンセプトやロゴも一新。学生が納得感のあるキャリア選択を行えるよう、サービス対象を2027年卒以降の全学年に変更。これまでの企業単位ではなく、コース(仕事・職種)単位での情報掲載、学生が自分の志望や志向に気付くことができる「レジュメ」機能の実装や、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)の素案を作成する機能「ガクチカAIアシスタント」の搭載など、サービスの本質から見直した。

「これまでは、『2025年卒向け』『2026年卒向け』と特定の卒業年度向けのサービスという位置付けで、主に大学3、4年生を対象にしていました。新しい『リクナビ』は、学生が、自分に合ったタイミングでキャリアを考える機会を提供したいという思いから、対象学年を全学年としました。学生が大学生活でさまざまな経験を積むなかで、その経験から、まだ見ぬ自分らしさに自然と気付き、自分の将来につなげられるようなサイトを目指しています」(井上氏)。

少数精鋭の深いコミットで新しい「リクナビ」を共創

今回のリニューアルにおいて、井上氏は「ブランドガイドラインの作成で終わるのではなく、運営者の想いを汲み取り、どうすれば社内外にメッセージが伝えられるかを大事にしていました」と話す。

リニューアルは、理念やビジョンの再定義だけでなく、社内外のステークホルダーの意識統一も重要なプロセスだ。本リニューアルは、まずミッション・ビジョン・バリューの策定からスタート。その後、マーケティング責任者や営業責任者などあらゆる関係者へのヒアリングを実施し、ブランドパーソナリティを明確化していった。

ユニットベース代表の上村正敏氏は、「今回は、新しい『リクナビ』のブランドイメージを具現化していく作業でした。プロジェクトメンバーの頭の中にあるイメージを丁寧に紐解き、言語化していくことが重要だと考えました」と語る。ユニットベースは、ヒアリングやワークショップで語られた言葉をすべて洗い出し、それらを分類・整理することで、新しい「リクナビ」の本質を明確にしていった。そうして導き出されたのが、「NATURAL」「BOLD」「SIMPLE」という3つのキーワードだ。これらを軸にブランドの方向性を定め、デザイン原則やガイドライン、UIデザインへと落とし込んでいった。「シンプルな言葉にすること、そしてそれを形にすることは非常に難しい作業でした。今では、この3つのキーワードが、社内全体の共通言語となっています。実際に『これってリクナビっぽいかな?』といった会話が、定例会議から日常会話まであらゆる場面で交わされるようになりました」(井上氏)。

実データ グラフィック リクナビのブランドガイドライン

新「リクナビ」のブランドガイドライン。「NATURAL」「BOLD」「SIMPLE」のキーワードをもとに作成された。

実データ グラフィック リクナビのブランドパーソナリティ

今回リニューアルした「リクナビ」のブランドパーソナリティ。

上村氏は、「私たちは1から10までルールをつくるのではなく、リクルートの皆さんがすでに持っている想いや考えを整理し、形にするお手伝いをするというスタンスです。リクルートの皆さんが『リクナビ』のブランドやプロダクトについて深く考えているからこそ、今回のプロジェクトを成功に導くことができたと考えています」と振り返る。

新しい「リクナビ」は2027年卒以降の全学年を対象としているため、学生からの反響の多くはこれから届くこととなる。従来のリニューアルのように「変わったね」と評価されるのではなく、学生にとって自分らしいキャリアを見つけられそうと思ってもらえるかが重要だ。

「新しい『リクナビ』が学生の皆さんにどんな風に受け入れられていくか、非常に楽しみです。今後もさまざまなアプローチを検討しつつ、入学から卒業まで4年間愛されるプロダクト・サービスへと成長させていきたいです」(井上氏)。

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