なぜフジテレビからはCMを引き上げたのに、悪質なネット広告の出稿は止めないんですか?

紙媒体もデジタルも双方でダウンした新聞広告の苦境

「2024年 日本の広告費」を電通が発表しました。総広告費は増えたそうです。牽引役はインターネット広告ですが、マスコミ四媒体広告費も3年ぶりのプラス成長でした。でもネット広告の“ある部分”を見ると泣きそうになります。

電通のデータには2018年から「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」の数字が表記されています。新聞や雑誌のデジタル版、ラジオはradiko、テレビはTVerとABEMAの広告収入ですね。ラジオとテレビは大きく伸びました。

ところが雑誌デジタルは微妙です。

グラフ その他 日本の広告費推移

電通発表「日本の広告費」のデータをもとに筆者作成。

上のグラフは「雑誌デジタルの金額をインターネット広告費全体の金額と2軸グラフで表現したものです。金額は大きく違いますが、2022年までは雑誌デジタルの伸びはネット広告費の伸び方と足並みが揃っていました。ところが2023年は横ばい、2024年はなんとか伸びていますが、ネット広告全体の勢いに追いつけていません。

新聞デジタルはもっと悲惨です。

グラフ その他 日本の広告費推移

電通発表「日本の広告費」のデータをもとに筆者作成。

2023年から2024年にかけて、ネット広告全体の成長から完全に振り落とされています。まったくついていけていません。

さっきマスコミ四媒体は3年ぶりの成長と書きましたが、実は新聞だけダウンしていました。さらに新聞デジタルも下がってしまった。紙媒体のダウンをデジタル版で補いたいのに、どっちも下がっちゃった。新聞は広告媒体として、もはや未来がどこにも見えない状況です。

まずは新聞業界の人たちは、デジタルがヘタ過ぎるというのが大きな原因でしょう。特に地方紙のデジタル版は3行くらい読むとすぐに登録が求められる。あれではその先を読む気になりません。

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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