大手メディアにも広がる「通せんぼ広告」の不快感
次に考えるべきは、広告の在り方です。新聞のデジタル版でも平気で「通せんぼ広告」が表示されるなど、広告表示全般が良くない。だから新聞のデジタル版は記事が読みにくい。
これは雑誌のデジタル版でも同じで、こっちのほうがひどいもんです。最近は読みたい雑誌の記事を見つけると見出しをニュースアプリで検索してそちらで読むこともあります。圧倒的に読みやすいですからね。
つまり、新聞・雑誌のデジタル版の広告収入が伸び悩んでいるのは自業自得なんです。広告で稼ごうと狭い画面にたくさん表示するから肝心の記事が読めない。稼ごうとするからかえって稼げなくなっているのです。PMPを形成したり、コンテンツ型の広告に本気で取り組むなどの努力が必要ですが、ここでは割愛します。
さて、この記事で本当に私が問いたいのは、広告主の責任です。広告を出す時にこうした新聞・雑誌を選ぼうとしていますか?していませんよね。2024年のインターネット広告費の内訳はまだ発表されていませんが、2023年では87.4%が運用型広告でした。2024年も同じくらいでしょう。
広告主の皆さん、あなたの会社が出稿するデジタル広告もほとんどが運用型だと思います。それでいいのですか?それは社会にとってより良い選択ですか?世界を悪くしていませんか?あなたの広告は、民主主義を支えていますか?
運用型広告そのものが悪いわけではないですよ。でもそればかりになると、メディアの側はどうなるでしょう?さっき書いたように、記事の邪魔をするような広告が増えていくわけです。新聞や雑誌のデジタル広告をつくっている人たちも好き好んでそうしているわけではありません。デジタル広告のニーズの大半が運用型になっているので、そこで稼がざるを得ない。広告単価は決して上がっていませんので、記事そっちのけで広告スペースを作らないとメディアが継続できないのです。