はっきり見えた、マーケターとして今やるべきこと
━━タピオカドリンクのブームが落ち着いた今、ゴンチャはどこを目指しているのですか?
若い世代の中には、自分への「ご褒美」としてカフェでおいしいドリンクを買う文化が根付いています。この「ご褒美市場」、今はまだコーヒーの占める割合が高いですが、私たちはここを狙っていきたいのです。シェアを大きく獲得するということではなく、「コーヒーも飲むし、ティーも飲む」という、新たな市場の形をつくりたいと考えています。
━━「ご褒美需要」を取るために、どんな施策を行っていますか?
ゴンチャはお茶の新たな可能性を広げ、ゴンチャでしかできない体験を届けることを重視しています。マーケティング的に言えば「Wow」、つまりワクワクの醸成です。商品を見た瞬間、あるいは飲んだ瞬間、ワクワクするような体験がないとお客さまの記憶に残りません。今、そのような体験を届けられるのはゴンチャだけだと自負しています。
ゴンチャは数年前から期間限定のお茶商品を打ち出してきました。いかに「一杯の価値」を高めて、「ゴンチャのお茶はおいしい!」と言ってもらえるか。そこに集中して取り組んできたんです。タピオカブームに翻弄されることなく、ゴンチャが生き残り、さらなる成長につながった理由はここにあると思います。
マスメディアン
取締役 国家資格キャリアコンサルタント
荒川直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
ただ、期間限定商品の売り上げは全体の2割に過ぎません。ゴンチャのコアは、やはり定番商品です。ですから、「期間限定」という瞬間的なWowで終わるのではなく、それをゴンチャというブランドへの共感につなげていくこと。それが今後の重要なテーマです。
━━その方向性の中で、ライさんの役割は?
私、かばんにゴンチャのキーホルダーを付けているんですね。この前、病院に行ったとき、看護師さんが「ゴンチャだ! 黒糖ミルクティー最高!」って声をかけてくれて。病院でそんなに興奮していいの?っていうくらいのテンションで(笑)。すごくうれしかったです。
他のどのブランドでもなく、ゴンチャを支持してくれるお客さまがたくさんいる。そこには必ず理由があるはずです。それを明確につかんで商品企画やコミュニケーションに生かすことが、マーケターとしての私の仕事だと思っています。
━━これからも、日本で挑戦を続けるわけですね。
日本には昔からお茶文化があります。歴史の中でも、現代の生活の中でも、すごくなじみ深い。それなのに、なぜ日本のカフェではコーヒーばかり飲まれるんだろうと、歯がゆい気持ちがあるんです。ここに変化をもたらしたくて。
━━「カフェでコーヒーを飲みながら、ノートPCを開くのがかっこいい」みたいなイメージも浸透していますよね(笑)
はい。でも、そればかりじゃつまらないですよね。お茶にはいろんな楽しみ方があります。ミルクを入れたり、フルーツと合わせたり、トッピングを選んだり。私は甘さや氷の量をカスタマイズするのも大好き。
お茶の自由さは、今の若者の価値観にフィットすると思います。ゴンチャにとって、日本は最大のマーケットのひとつ。ゴンチャ ジャパンが貢献して、日本から世界へ新しいティーカルチャーを発信していきたいと思っています。
━━お話を伺って、ライさんの成長意欲をすごく感じました。どんなことを意識すると、マーケターとしての成長につながりますか?
成長しやすい環境に身を置くこと、これに尽きます。
成長しやすい環境とは、まず「オープンプロセス」であること。物事がどういう基準に基づき、どういうプロセスで、どういう議論が交わされて決定したのかが見えることです。そうであって初めて的確なPDCAを回せるし、自分が判断する立場になったときも最適な結論を出すことができます。
2つ目は「アカウンタビリティー」。企画から関わり、成果が数字で明確に計れること。結果に対して責任を持つのは苦しいことでもありますが、納得感のある仕事になると思います。
最後は「スピード」です。たくさん経験すれば、それだけ成長できますから。特に外食産業は新商品のサイクルが速い。毎月、新商品が出るので、目の前のことをやりながら6カ月先の準備もしています。これらの点から、ゴンチャは私の考える成長しやすい環境が揃っている企業だと感じます。
━━ライさんはその成長へのモチベーションをどうやって維持しているんですか?
私は目標を達成することよりも、そこに向かう過程で自分のポテンシャルがどこまで広がるかを見てみたいんです。だから、今やっていることが自分の成長につながることなら続けられます。
━━ありがとうございました。
