Q1:現在の仕事の内容とは?
「環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献」を理念に掲げ、リースを祖業に「金融×サービス×事業」のビジネスモデルを展開する東京センチュリーの広報IR部に所属しています。
当社は、情報機器や自動車、航空機などのリースから、地域に根ざしたホテル運営や環境・エネルギー関連まで、多様な金融サービス・事業を50以上の国や地域で展開しています。リース物件であるモノを貸し出し、リース満了後は法令に従って適切な処分を行う、いわゆる3Rと呼ばれている「リデュース、リユース、リサイクル」という考え方を根幹に持ち、サーキュラーエコノミーにも積極的に取り組んでいます。
主な業務は、適時開示や任意開示などのニュースリリース作成やメディア対応に加えて、オウンドメディア「東京センチュリーNEWS」の運用全般、紙媒体への広告出稿、広報戦略の立案、危機管理広報などを担当しています。一般的に適時開示はIRの領域になりますが、IRチームと連携しながら業務を進めるなど、貴重な経験をさせてもらっています。
Q2:これまでの職歴は?
広報としてのキャリアは、3社目の不動産テックベンチャー企業時代からスタートしました。当時はデジタルマーケティング部でサービスサイトのディレクションおよびコンテンツマーケティングに携わっていましたが、役員の方から「広報をやってみないか」という打診を受けました。「もっと若手の方が良いのではないか」と一度はお断りしたものの「文章力を活かして地に足のついた硬派な広報活動を行ってほしい」と再度打診を受けて、広報の世界に足を踏み入れました。
未経験ながら試行錯誤し、会社初の大手経済紙への掲載を獲得した時の社内の盛り上がりは今でも忘れられません。継続的なパブリシティや、当時はまだベンチャーでは先進的であったSDGsに関連した各種施策およびメディアアプローチを通じて、同業の上場企業の広報の方からも一目置かれる企業にまで成長できたことは大きな財産であり、広報・PRの力を実感した瞬間でした。
「ひとり広報」として、対外広報のみならず、MVVの策定・浸透、採用広報、アワードなどの社内イベント、HPのリニューアル等、広報業務全般をやりきったと思えたタイミングで、当社に転職をしました。
Q3:転職や社内異動などに際して、強く意識したこととは?
自分にないスキルから「何が足せるか」、すでに保有するスキルの「何と掛け合わせて、どう活かせるのか」の2軸を意識してきました。キャリアを考える上で、一つの業務を極める道もありますが、私自身さまざまな事に興味関心があるため、新しいことにチャレンジしたいという想いが強く、経験を掛け合わせて領域を広げることで、これまでのキャリアを築いてきました。例えば、今回の転職の際は、1社目の「金融」×3社目の「広報」の経験に「上場企業の広報活動の経験」を足したいと考えました。
それ以外では、会社の「空気感」も意識しています。大企業でありながら、「その挑戦に、力を」というスローガンの下、さまざまな挑戦を続けて事業領域を拡大している成長性と、いわゆるベンチャー企業のような勢いと自由な雰囲気を感じられたことも決め手となりました。実際に入社して感じたことは、ベンチャー企業と上場企業では求められるものが全く異なるということでした。B to CとB to B、金融という業種の特性もあるかと思いますが、どちらも経験できたことは、今後の強みとして活かしていくことができると思います。
Q4:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何?
広報職=プロフェッショナル職という認識がまだ一般的には浸透していないことでしょうか。広報の仕事は、俗人的な部分も多く、スキルや経験の有無で結果に大きな差がでてしまう一方で、スキルの言語化や効果測定が難しいということが起因しているように感じます。
広報職が担う役割は、情報発信にとどまらず、企業の戦略やイメージ、ブランド価値を適切に伝え、ステークホルダーと信頼関係を築くという専門性を要する職業であると認知が広がるためにも、社外のみならず社内においても、対話と結果を積み重ねて理解を深めていくことが大切です。社会の変化や各企業の経営課題に合わせて広報が果たすべき役割も異なるため、それに応じたスキルと視点を磨き続けていきたいと思います。
Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?
大きく2つの挑戦をしていきたいと考えています。
1つ目は、当社の広報活動として、来年度はブランディング関連施策に注力していきたいと考えています。ブランドコミュニケーションの強化により、信頼性と認知度を高め、それが社内のエンゲージメント向上につながる。そのような企業価値向上を目指して挑戦していきたいと思います。
2つ目は、広報活動が企業価値向上にどのように寄与するのかを数値で示せるよう、MBA取得なども視野に入れつつ、研究をしてみたいという思いがあります。数値で示すことで、経営層の納得感を得られやすく、より密な広報活動が期待できると信じています。新しい知識を貪欲に吸収しながら、現状維持ではなく、常に成長を続けていきたいと考えています。
【次回の担当者は?】
バトンをお渡しするのは、ファミリーマートの樋口雄士さんです。樋口さんは、メーカーや飲食業などの営業をご経験された後にファミリーマートへ転職。マーケティングからブランディング、社内・対外含む広報業務全般に従事し、現在は親会社である伊藤忠商事 広報部に出向されています。圧倒的な量と質を誇る広報活動で業界を牽引する姿勢には尊敬しかありません。その秘訣をぜひお伺いしたいです。
