「桜AIカメラ」で樹木の保全活動を促す キリン「晴れ風」の社会貢献活動

ユーザー参加型のCSR施策がブランドとユーザーの距離を縮める

キリンビールは、日本の風物詩を守る活動「晴れ風ACTION」の一環として、「晴れ風ACTION 桜AIカメラ」を3月17日に公開した。スマホで桜の写真を撮影すると、AIが桜の健康状態や推定樹齢を判定する。アプリのダウンロードは不要で、専用サイトにアクセスすれば利用可能。桜を撮影するという花見の季節の習慣を、保全活動へとつなげることが狙いだ。

イメージ 「晴れ風ACTION 桜AIカメラ」の使用シーン。桜が咲いている季節だけでなく、年間を通してデータを収集する

「晴れ風ACTION 桜AIカメラ」の使用シーン。桜が咲いている季節だけでなく、年間を通してデータを収集する

同社は2024年にスタンダードビール「キリンビール 晴れ風」を発売した。発売から約1カ月で年間販売目標の4割を突破する人気ぶりを見せ、昨年末には350ml換算で2億本の販売を達成した。

同ブランドは、花見や花火など日本の風物詩を保全する活動「晴れ風ACTION」が特長。近年、地域人口の減少や高齢化により、イベントの中止が増加。ビールがこうしたイベントと共に楽しまれてきた背景から、同ブランドの売上の一部を自治体に寄付し、保全活動に役立ててもらっている。

売上の一部を寄付するだけでなく、缶に記載された二次元コードなどからアクセスできる特設Webサイトを通じた寄付も可能。付与される0.5円分のポイントを好きな自治体に寄付でき、顧客がより能動的に保全活動に協力できる仕組みとなっている。

社会貢献活動に関心のある若年層の参加も多く、2024年の寄付総額は約1億855万円を達成。参加人数は約1億9234万人に上る。桜の保全では47自治体に4000万円の寄付を実施。2025年は支援先を94自治体に増やし、活動を拡大する。

「晴れ風ACTION」の成功要因は、売上の一部を寄付するだけでなく、ユーザーが自発的に自治体を選んで寄付できる仕組みを構築した点にある。社会貢献活動に関心のある若年層は多く、競合他社のブランドでも環境保全を掲げた取り組みが加速しているが、「晴れ風ACTION」では「自分から自発的に参加できること」が「自分が役に立っている」という自己肯定感につながり、ブランドとの結びつきをより強めているという。

マーケティング部新価値創造担当の塩田梨沙氏は、「ビールがおいしいのはどのブランドも同じ。その中で、自分が好きなものを応援できるという新しい価値が、ブランドとお客さまの距離を縮めている」と語った。

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