東京コピーライターズクラブ(TCC)が主催する、コピーの最高峰を選ぶ広告賞「TCC賞」。その入賞作品と優秀作品を収録したのが『コピー年鑑』です。1963年に創刊され、すでに60冊以上刊行されています。
広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。今回は、2022年度にTCC新人賞を受賞した北恭子さんです。
私の家には少しずつ集めたコピー年鑑が部屋の端から端まで届くほどあって、
仕事の合間や寝る前など、ときどき年鑑を読んでいます。
やはり手元にあると、自然と読む時間が増えます。
特に私が読むのは、
・夜、髪を乾かしている時間
・仕事を始める前
・心がザワザワしたとき
の3つです。
私は髪がやたら長いので、毎日途方もなくドライヤーをしている時間があります。その間、ソファに座って、小さなテーブルの上に年鑑をのせ、パラパラと気が向いたところを読んでいます。
すると、その時悩んでいた仕事の活路が見えたり、自分の考えがとても一面的であることに気づかせてくれたり。気持ちのいいセレンディピティがあったり、なかったりします。なくても、基本的にいいことばしか載ってないので、読んでいて心地よいです。
2つ目の「仕事を始める前」は、受験勉強の頃にやっていたフォーミングアップのような感覚です(テストの前に、単語帳を開いていくつか思い出しておくような)。
企画をいきなり始めず、ちょっと回り道でもコピー年鑑を開き、自分が好きなアウトプットに触れたり、難しい環境を逆手にとった事例を見たりして、企画が矮小化しないように心がけています。しかもネット上の事例まとめを見るより、コピー年鑑の方が自分の発想を広げてくれる印象があります。事例が二次情報として変にまとめ直されておらず、自分の目線でアウトプットに触れ、自分なりの気づきを得られる方が企画に活かしやすいのだろうと思います。
3つ目の「心がザワザワしたとき」は、わたしの場合、読書全般に言えることかもしれません。
本を読むって最高のリラクゼーションだなと思っています。いつでもどこでもできるし、自分のためになるし、集中することでこころがケアされる感覚があります。
いろんな本を積読しながら、ザッピングしてケーキバイキングのように本を読んでいます(すみません、誰かから怒られそうな読書方法ですが)。
その中で、コピー年鑑を手に取る時があります。
年鑑って重たいし、それをわざわざ広げて読んでいるという行為自体にちょっとした非日常感があります。そこに書いてあるのは、誰かが誰かを動かそうとしたことば。ソリッドに研ぎ澄まされ、気付きを与えようとしているものばかり。そういうものに触れると、なんだかこころが整い、しゃんとしなきゃという気持ちになります。いつもありがとうございます。
たくさん並べてありますが、結局よく読むのは直近の年代ばかりです。
久々に昔の年鑑も読んでみようかな。
