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「宮城県仙台第一高等学校」編
中村俊之氏(ポーラ EC事業部 部長 / 日本アドバタイザーズ協会 理事・デジタルマーケティング研究機構
近江剛史氏(九重本舗玉澤 専務執行役員)
鈴木聡倫氏(CHERRY 代表取締役)
(左から)鈴木聡倫氏、近江剛史氏、中村俊之氏
コロナ禍に急病 老舗和菓子店を襲った危機
――地元仙台で創業350周年を迎える九重本舗玉澤で、近江さんはお兄さんとともに家業を継がれています。同窓会のネットワークが役立つことはありましたか。
近江:先輩後輩のつながりはもちろん、同級生には本当に助けられています。「霜ばしら」という飴や、お湯を注ぐと浮かんでくるカラフルな粒状の砂糖菓子「九重」など、九重本舗玉澤は他にはない個性的で高い技術を要する和菓子をつくっています。昔ながらの製法で手づくりにこだわっているのですが、その魅力を言語化して伝えるのが難しいという課題を抱えていました。
そんな矢先、2020年の春先に私が急性心筋炎という命にかかわる大きな病気になってしまいました。コロナが流行り始めた時期で、商品も売れなくなり在庫の山。そんな状況で会社のハンドルを切っていた私が倒れてしまって会社は危機的な状況に陥りました。そのときに、妻が中村に私がICUにいることを連絡したんです。
中村:近江が倒れる前の2019年末ごろから「きちんとブランド整備をした方がいいのでは」という話を飲みの席でしていて、九重本舗玉澤のリブランディング構想を考え始めていたんです。玉澤の和菓子は素晴らしいのに、その魅力が埋もれてしまっている。350年の歴史を持つブランドのストーリーや、お菓子の魅力をもっと伝えたいと考えていました。コロナ禍で状況が悪化していたところに奥さんからの連絡があり、本格的に支援をスタート。2020年のゴールデンウィークには、1週間でECプラットフォームの「BASE」上にオンライン店舗を立ち上げ、販売を開始しました。