デジタルの世界で知名度を確立させたブランドがさらなる顧客との接点拡大を目指したり、従来は人的営業中心だった企業が、テレビCMの活用に踏み切る機会があります。なぜテレビCMを選んだのか。初めて出稿する際に、どのような戦略を持って臨んだのか。担当者に話を聞きます。
※本記事は月刊『宣伝会議』4月号の連載「初めてのテレビCM」に掲載されています。
レトロでキャッチーな楽曲で耳からもブランドを印象付け
全体的に昭和の雰囲気をまとったオリジナルソングに合わせて、中央自動車工業の取り組みを伝えるCM。
自動車関連製品の製造・販売を手掛ける中央自動車工業は1946年の創業以来、環境の変化に合わせた事業変革を行い、現在ではカーディーラー向けにカーコーティングや、エンジンオイル添加剤などの自社開発商品を提供している。企画から研究開発、製造、販売まで一貫した体制が特徴だ。
国外においても祖業である自動車部品の専門商社業を継続しており、約60の国と地域に及ぶネットワークを持ち、日本製品の輸出やビジネスの開拓なども行う。
さらに近年は、異業種向けの事業としてアルコール検知器「SOCIAC」を展開。官公庁や自治体をはじめ、警察の飲酒検問の一次検査用としても採用されている。
これまで同社は、BtoB企業という性質もあり、「SOCIAC」単体のテレビCMの放映は実施したものの、積極的な企業広告展開は行ってこなかった。「顧客からの要望に応じて販促物を制作したり、営業担当者が地域密着で商品提案を行ったりと、営業活動に付随したコミュニケーションが中心だった」と広告宣伝部の岩井大悟氏は振り返る。海外事業においても、商品のブランディングや広告は製造元のメーカーが担当するのが通例だったという。
そんな同社だが、2026年に創業80周年を迎えることを受け、企業価値の向上を目指したブランディング施策を開始。広告宣伝部と経営企画室のメンバーでプロジェクトチームを結成し、新たな挑戦を始めている。
「このプロジェクトでは、企業の認知度向上と投資家との接点創出、多様な人材の採用促進、そしてステークホルダーとの関係強化という3つの目的を掲げました。広告宣伝部だけでは対応が難しい部分もあるため、全社横断的な調整を担う経営企画室と協働する形を取りました」(経営企画室海野祐氏)。
…この続きは3月1日発売の月刊『宣伝会議』4月号で読むことができます。
