コーポレートニュース
広報室とコーポレート部門にてイントラネットでコーポレートニュース記事を作成。その中で広報室では、社内で起こった出来事などのニュースを月に2~3本、スピードを重視して配信している。
「自分がかかわった業務や活動が広報されることは従業員のモチベーションにもつながるとの考えから、大きなニュースだけではなく、日々の業務の中で起こる小さなニュースも『些細な事でも見逃さない』という意識で取り上げています」と話すのは、広報室でコーポレートニュースの運営を担当している阿部あゆみ氏。
同氏がコーポレートニュースの担当となったのは2024年の春。“即時性”という特性を重視しつつも、阿部氏が意識したのが、記事本数を増やし過ぎず、各記事の編集の質を上げることであったという。
「闇雲に記事本数を増やすのではなく、毎週編集会議を実施して、その週に出すべき記事を決めています。2024年の上期が終わった段階で閲覧データなどを洗い出したところ、2023年下期と比較して、2024年上期の記事の平均閲覧数は1.2倍に増加。それ以前と比較しても増えていました。これだけでエンゲージメントが上がったと捉えることはできませんが、会社で起こっていることに興味を持つ人が増えているということではないかと考えています」と阿部氏は話す。
また、各記事には「いいね」をつけることもできるため、いいね数もコーポレートニュースを運営する上での指標としているという。
「紙の社内報で詳細を紹介する前に、まずはコーポレートニュースで配信するというケースもあります。また、ウェブ記事はスペースに制限がないので、写真点数を増やすことも意識しています。地域の営業担当などはクライアント先への往訪に長時間かかることもあるため、そのような際に一息ついてもらえるような情報なども発信していきたいと考えています」(阿部氏)。
官民連携で実施した災害時に備えた訓練の様子や、同社の商品が映画やドラマなどで使用された際のお知らせなどを、即時性を持って発信している。
タカラTV
2023年10月から開始したタカラTVは、社風の見える化、新たな社風の創出のために設立。テキストでは伝えきれない温度感や社内の雰囲気を動画で配信している。
プロデューサーとして撮影や編集などを主にひとりで担っている加藤誠一朗氏は、タカラTVをきっかけに、タカラベルモントで過ごす時間を楽しく感じる従業員が増えてほしいとの想いで運営をしていると話す。
「一日の中で仕事に割く時間は多いです。その時間が楽しくないということは、パーパスである『美しい人生を、かなえよう。』の実現につながらないと思いました。そのためタカラTVでは見た人にくすっと笑ってもらえるようなユーモアも大切にしています。また、当社にはユニークで魅力的な従業員がたくさんいます。その人たちにタカラTVに出演してもらい、多くの人が知ることで、より会社のことを好きになってもらいたいという想いもあります。私自身タカラTVを始めてから、それ以前よりも仕事が楽しくなったので、パーパスの実践につながっていると感じています」(加藤氏)。
タカラTVでは設立時に「宝部瑠璃(たからべるり)」というオリジナルキャラクターも制作。宝部瑠璃がアナウンサーとしてニュースを紹介するという構成となっており、ここでも親しみやすさを演出している。
同社には生産現場で働いており、デスクでパソコンを使える環境にない従業員もいるため、そのような人にとってもタカラTVという動画配信によって、情報がいきわたるよう試行錯誤を繰り返している。
2024年12月には同社の人事部に所属するフィールドホッケー選手、及川栞氏がアスリートを対象に開催したヘアケア体験イベント「今日から、Let’s シャン活 in TB-SQUARE」の様子を配信。Myパーパスに「アスリートのビューティー」を掲げる及川氏の、パーパス実践を映した動画は従業員からも好評だったという。
社内報『宝箱』
『宝箱』は3カ月に1回(1月、4月、7月、10月)発行される社内報。従業員の取り組みを歴史として残し、誇りを醸成する目的で制作されている。
工場の掲示板に掲示物として貼っても見やすいよう、タブロイド判を採用している。巻頭特集と連載企画で構成されており、現在は直近で起こったニュースを紹介する連載「掘り立て宝箱」のほかに、3つの連載を掲載している。
「こんなところにタカラベルモント」
同社の製品がどこで役に立っているのかを伝えるコーナー。南アフリカ共和国の歯科医院や寝台列車など、意外なところで使用されていることもあり、従業員からは「自分たちのつくったものが役に立っているのが分かりうれしい」などの声が届いている。
「タカラのタカラ!」
業務で表に出る機会の少ないバックオフィスなどの部門にスポットをあてる企画。普段交流のない従業員同士をつなぐ役割も果たしている。
「こんにちは!from◯◯(国名)」
タカラベルモントの海外拠点を紹介する連載。海外で働く仲間を紹介するのはもちろん、現地の理美容で流行しているものや市場動向などの話も知ることができる。
『宝箱』の編集長を務める田中奈々子氏は、「『取材にきてほしい』『取り組みを取り上げてほしい』という従業員からの声も非常に多く、社内報に載せきれない場合もあるので、コーポレートニュースやタカラTVと連携して、どこで取り上げるのがよいのか検討しています。また、アンケートで『取材してもらえるように業務を頑張ろうと思いました』などの感想をくれる人もいて、興味を持って読んでもらえているのを実感しています」と話す。
3メディアの展望
3つのメディアへの取材依頼が増加していることから、会社に対して以前よりも興味を持つ従業員が増えているのではないかと石川氏は話す。
「社内報やオウンドメディアの運用で、『掲載するネタがない』という課題を抱える企業も多いかと思います。当社でも、最初の頃は今ほど取材依頼もありませんでした。そのような場合は、まず行動することが重要だと私は考えています。実際に現地に赴き、直接話を聞くことで得られる情報もありますし、取材された側の従業員もその後新しいネタを見つけたら連絡してくれるようになります。広報室でも、現地に足を運ぶことは大切にしています」。
また、社内報には「読者プレゼント」の企画も用意しており、応募の際に社内報への意見を聞くといった、声を吸い上げる工夫も行っている。
広報室は2025年も3メディアを軸に社内広報を行っていくという。
「パーパスの浸透もエンゲージメント向上も一発で解決できる秘伝の技のようなものは存在しないと考えています。現状の課題を整理して、課題に対していつまでに何をやるか戦略を立てる。そしてその結果を定量的に把握できるようにして効果を見る。この繰り返しです。広報室が新しい挑戦を続けていることで、社内にも挑戦する風土が広がっていけばよいなと思っています」と石川氏は語った。
