ピラミッド型の人材育成プログラムで積み重ねでデジタル人材を増やす
福吉:事業ウイングが広いと、各事業で仕事の仕方やデータの見方も違う。ましてデジタルと言われると戸惑うこともあるでしょうね。そうした人々が学ぶ機会みたいなことはあるのですか。
武重:事業や業務の課題に対してデジタルを活用することで解決できる人材を創出するための実践型トレーニープログラムを通じて育成を行っています。ホールディングスグループ内の企業から数名を選抜して年に3〜4回、3カ月の間、週に1度の講義を受けて、最終的には学んだことをベースに自身の会社や事業に還元できるプロジェクトを計画書にして、上長や決裁者に発表します。参加者は座学の講義だけで終わらず、実際にプロジェクト化して課題解決に向けて取り組むため、その支援もTFHD digitalのデジタル知見の豊富なメンバーが伴走するという特徴があります。
福吉:私たちは全体の底上げを目的に、1年をかけてデータとは何かの解説から始まり、最後はデータをコールドストレージに入れて、ダッシュボードで可視化して活用する社内勉強会を開いています。
武重: 当社のデジタル人材育成のイメージはピラミッド型です。一番上からDXマスター(上級)、DXリーダー(中級)、DXパートナー(初級)というように参加した研修や持っている知見に合わせて定義しています。トレーニープログラムの参加者はDXマスターとなり、DXプロジェクトを企画推進して事業や業務の課題を解決することが求められますので、TFHD digitalとしてもその目線でレベルアップしてもらえるよう、育成に注力しています。とはいえ、いきなり全員を頂点まで持っていくのは難しいので、積み重ねでDX推進ができる人材が増えていけばいいなと思っています。
福吉:IT部門の人だけに知識があればいいという時代は終わりつつ環境をとらえて、会社として取り組みをしているのはすごいですね。
武重:トレーニープログラムの参加メンバーは年齢や社歴もバラバラですが、同期的なつながりが生まれています。それがこれまで縦割りになっていたホールディングスグループ各社、各事業に横のつながりを生み出していて、単なるデジタル人材育成にとどまらない要素はあると思います。

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