ベンダーと事業会社の間に入り、コンサルティング会社の代わりを務める
福吉:武重さんのお話を聞き、TFHD digitalとDX組織を独立させる意義が見えてきました。
武重:そもそも不動産業界では、デジタル化の推進に際して社内に知見がないケースが多いです。そこで何か新しいソリューションを導入する際にも、ベンダーとの間を取り持つコンサルティング会社に投資をせざるを得なくなる。これまでコンサルティング会社が担っていたような役割を、グループ内企業の私たちが担い、利害関係のない立場からフラットな視点で提案できる体制が構築できています。
福吉:専門家集団をグループ内に持つことで、結果的によくわからない投資を避けることができる。武重さんたちに適切なSaaSソリューションを紹介してもらうこともできます。
武重:最近はエンジニアに加えてプロジェクトマネージャー(PM)もニーズが高まっています。ベンダーとデジタルの知見のない事業会社の担当者が直接やりとりすることほど危険なプロジェクトはありません。その危険を回避するために、これまではコンサルに入ってもらっていたところを私たちで対応することが求められている。さらに、ホールディングスの狙いとしてはデータを統合したいというゴールもあります。
この状況で外部のコンサルに頼りっきりになると、もちろん将来的にデータを統合したいことをくみ取るのは難しいため、導入したSaaSや構築したシステムではデータがバラバラということも起きてしまう。私たちはホールディングスと同じ方向を向いて、最終的にデータはここに統合するという全体像を理解したPMがいるので、結果的にコストも抑えられると考えています。
すでに今年度だけでも3人のPMを採用しています。事業内容に関わらず、大きなコストのかかるコンサルフィーを置き換えられる人材をグループ内企業において、事業会社に近い立場でその役割を担えることは、私たちを重宝してもらえている理由にもつながっていると感じています。
福吉:この対談企画では企業内のデータ利活用や顧客データとの向き合い方がテーマなのです。企業やブランドの中の人が最終的にデータとどう向き合い、活用したいのかという大きな俯瞰の絵が描けている人がいることが大事で、そういう人が受発注に関わることでいろいろな悩みから解放される。特に東急不動産ホールディングスグループのような大きな規模の会社では、そういう思想を持つことが大事だなと思いました。
