ビヨンドフード事業部マーケティング部の中村洋一部長
「完全メシ」の成功要因の一つとして、ビヨンドフード事業部マーケティング部の中村洋一部長は「『完全メシ』という言葉の強さがある」と強調する。現在、同ブランドの認知率は50%を超えており、インパクトの強いネーミングが認知拡大につながったとみている。
従来の栄養食品ブランドはネット専売のケースも多かったが、日清食品はこれまで築いてきた販売網を生かし、スーパー、ドラッグストア、コンビニといった主要な小売店での展開を進めたことが奏功したという。
中村氏は「店頭でいかにお客さまの目に留まるか」が重要とし、ネット以外のリアルなタッチポイントでの訴求にも力を入れている。健康経営の拡大に伴い、社員食堂での導入事例も増加。冷凍ショーケースで完全メシの冷凍食品がいつでも購入できる設置型社食「完全メシスタンド」の導入も拡大している。今後は、店頭やECサイトに加え、外食産業との協業などを通じてタッチポイントの拡大を図る考えだ。
「完全メシ」の成功には、日清食品の開発力が大きく寄与している。発売から約3年で約200のメニューを次々と投入し、豊富なラインアップを展開できたことが、幅広い層の購買につながった。それを可能にしたのは、1958年に発売した「チキンラーメン」をはじめとする即席麺の開発ノウハウや冷凍食品の開発力だという。
現在は飽食の時代であるため、食品廃棄や健康問題が深刻化。豊かな食生活の一方で、「オーバーカロリー」や偏った食生活などによる「隠れ栄養失調」、低栄養による高齢者の「フレイル」といった問題が社会課題となっている。これらの課題は日本にとどまらず、海外でも広がっているとし、今後は海外展開にも力を入れる方針だ。
今回、発売した「汁なしカップヌードル」はインスタントラーメンで人気の「カップヌードル」の味わいを、湯切りしてつくる「汁なし焼そば」で表現したもの。「トムヤムライス」は女性人気の高い「トムヤンクン」の味わいを再現。「日清焼そばU.F.O. ぶっ濃い屋台風焼そば」は焼そばを鉄板で炒めたような風味を追加している。希望小売価格は1食398円(税別)。
同社と木村屋總本店が共同開発した「完全メシ あんぱん」も3月18日に発売した。関東甲信越エリアの一部コンビニエンスストア(ファミリーマート、ローソン)で販売。木村屋總本店のオンラインショップでも扱う。希望小売価格はコンビニでは1個243円(税込)、オンラインショップでは1セット(5個)1215円(同・送料別)。
