ベネッセコーポレーションと村田製作所は、「学び」と「組織成果」の関連性について調べる「組織学習と組織成果の関係性に関する調査」を共同で実施。その結果を発表した。
現代において、従業員が学びを通じて自己成長し、それを組織の成果に結びつける仕組みの構築が企業の持続的な成長に重要とされる一方で、「個人の学習」、「組織学習」、「組織成果」の関連を検証した研究は限られており、従業員の学びに対しての企業が中長期的な投資対効果(ROI)を検証することが難しい現状にあった。
そこで、教育事業を長年展開し、オンライン動画学習サービスも提供するなどのDX研修の設計や調査・分析を行うベネッセと、DX人材育成を推進している村田製作所がタッグを組み、個人の学びと組織学習推進がどのような成果につながるかを明らかにするために共同調査に至ったという。
調査は村田製作所におけるUdemy Business利用者のうち2089人を対象に、2024年11月11日~22日の期間で実施した。調査結果から分かったことは以下の通り。
組織における知識の共有や活用が、「組織成果」につながる
調査の結果、「組織学習」は「組織成果」を促進する可能性があることが分かった。「組織学習」の中でも特に、獲得した知識を組織に共有する「情報分配」、知識を実際に使ってみる「情報解釈」、知識を将来の使用のために蓄積していく「情報記憶」との関連が確認され、それらを促進することで「組織成果」の向上につながる可能性が明らかとなった。
「心理的安全性」が「組織学習」を推進する
また、「組織学習」に関連を与える要素を分析するため、関わりがあると予想される「学習推進(スキル獲得についての個人の意識や組織の取り組み)」「業務成果(学習結果を個人の業務や改善に生かせたか)」「心理的安全性」との関係を調査。
その結果、職場において「失敗しても問題ない」といった心理的安全性が確保されている場合、「組織学習」が促進される可能性が高いことが分かった。また、個人が学びを継続し、その学びを組織の成果に結びつけるためには、以下の3つの要素が重要であることも分かった。
①学習期待:職場や上司から新たなスキル獲得への期待があること
②学習サポート:会社や職場が学びをサポートする環境を提供していること
③学習継続意向:個人がスキル獲得のための学びを継続する意思を持っていること
「ラーニングカルチャー(学びの文化)」の受容性
一方で、学習促進のために実施している施策が、必ずしも組織の変化につながっていない可能性があることも判明。「個人の学び」を「組織学習」に生かし、「組織成果」につなげるためには、組織が「個人の学び」を推進しながら学びの成果の共有、活用、場を設けるなどの施策を行うことで、組織内にラーニングカルチャー(学びの文化)を醸成していくことが重要だと考えらる。
これらの調査結果を受け、両社は個人の学びと組織学習に対して企業が取り組める施策案を提示する。
個人の学びを促進するためには、スキルアセスメントやスキル棚卸しの機会の提供や勉強会や研修への積極的な参加の支援・促進。組織学習を推進するためには、ジョブローテーションやプロジェクトの参加機会の支援・促進、学習者同士が交流する場やコミュニティの支援、学んだスキルを共有して議論する場の提供などを挙げた。
