『ルックバック』押山清高監督の最新作、「ふくしままっぷ」のブランドムービー『赤のキヲク』公開

福島県は、3月27日に福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」のブランドムービー『赤のキヲク』を公式YouTubeで公開した。監督を務めたのは、2024年に劇場アニメ『ルックバック』で話題を集めた、福島県生まれの押山清高氏。

『ふくしままっぷ』とは、大人にも子どもにも親しみやすい手書きのイラストと文字のみで表現した、折りたたみ式の福島県総合情報誌。福島県内のみならず、東京など他県でも配布され、2016年の発行以来、累計発行部数は40万部を突破している。監修は福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦氏、デザインはアートディレクターの寄藤文平氏が務める。

そんな『ふくしままっぷ』が、なぜ今回ブランドムービーを公開したのだろうか。

「『ふくしままっぷ』は、オーバークオリティなスーパークリエイティブ。前例のない災害からの復興を前に進めるには前例のないクリエイティブが必要であると考えて制作された、寄藤文平さんのグラフィックデザインによる宝物のような冊子です。今回、それをさらに多くの人の手に届けるためにと『ふくしままっぷ友の会』をつくりました。このブランドムービーは、『ふくしままっぷ』への新たな入り口です。中途半端な動画ではなく、精緻なクオリティと深い思いがそのムービーにも絶対に必要でした」と、福島県のクリエイティブディレクターを務める箭内道彦氏。

本作の監督を務める押山監督は、劇場アニメ『ルックバック』でアニメ界のアカデミー賞と言われる米国アニー賞へのノミネートを始め、国内外で高い評価を受けたアニメーター・アニメーション監督だ。国内興行収入20億円を超え、社会現象を巻き起こした同作に続き、今回手掛ける最新作が『赤のキヲク』となる。

箭内氏は押山監督に「『ふくしままっぷ』という地図に詰まった、“ふるさと”をテーマにしながら、そのまっぷが象徴的に登場するムービー」を依頼したという。そして、押山監督は自身の出身地である福島県を主な舞台に、東京でグラフィックデザインの仕事をしている女性を主人公としたストーリーをつくりあげた。

福島県から上京した女性。大学で学び、就職したものの、なかなかうまくいかない日々を過ごす。そんな時に、いつも彼女の傍にいるのが「赤べこ」だ。その魔法をきっかけに、自身の原点や大切なものを振り返り、今の自分の姿を見つめ直した女性は “ふるさと”への想いをかたちにしていく。ちなみに本作で、押山監督はアニメーションの監督・脚本・キャラクターデザインに加え、アニメーションや背景美術など全ての作画も担当している。

押山清高監督『赤のキヲク』

今回のムービーの見どころの一つは、ふくしままっぷに登場するキャラクター ベコ太郎のモチーフであり、ムービーでも重要な役割を果たす「赤べこ」だ。もともと疫病除けの御守としても各家庭に飾られたもので、人々の暮らしの片隅で、それぞれの人生を守り、首を縦に振って肯定し続けて来たという。その姿がストーリーで描かれる。そして、「『ルックバック』の押山監督が故郷・福島という自身の原点を作品にした最新作。そしてそれが「福島県」から公開されるということ。ふるさととの距離というテーマは、全国全世界すべての人の胸に重なるものです」と箭内氏。

押山監督は本作について、次のようにコメントしている。

「昨年、監督した映画の公開を通じて、世界中から大きな反響をいただき、私にとっても特別な一年になりました。そして、今の自分があるのは、多くの人との関わりや、恵まれた環境があったからこそだと改めて実感することが増えました。
2011年の東日本大震災当時、私は東京で仕事をしていましたが、福島で被災した家族や大切な人たちのために、何もできなかったという思いがあります。その経験から、東京で創作を生業にできている今の自分の状況は、ある意味で、大切なものの犠牲の上に成り立っているのではないかという気持ちを抱くようになりました。
今回の『赤のキヲク』は、そんな自分の中にあるモヤモヤした想いを、何らかの形で吐き出す手段として制作したアニメーション作品です。私にとって、福島で生まれ育った20年間は、消えることのない多くの原体験を作り上げた時間でした。本作では、そうした自身の実体験をもとに、故郷を離れた一人の女性が、自分の原点を振り返る物語を描いています。
福島を知らない方には、その存在を知るきっかけに、また、福島に限らず誰にでもある『自分の原点』に思いを馳せ、忘れかけていた大切な何かを再確認する機会になれば幸いです」

スタッフリスト

監督・脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画・背景・作詞 押山清高
企画・監修 箭内道彦
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福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」デザイン 寄藤文平
企画制作 山川印刷所/齋藤宏行、東北新社/井上淳・春日大輝
色彩設計 末永康子
撮影監督 出水田和人
主題歌 赤のキヲク
編曲 中島ノブユキ
作詞、歌 edda
アニメーション制作 スタジオドリアン
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