本記事は月刊『販促会議』2025年4月号の転載記事です。
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化粧品やサプリメントなどを販売するファンケル。2023年からの2年間は既存顧客起点のコミュニケーションを軸に、情報誌をリニューアルしたり、全社的なKPIを見直したりと、様々な改革を行ってきた。
リアルチャネルに強い百貨店メーカーもECに注力
同社通販営業本部本部長の村岡健吾氏によると、通販事業注力の背景には、化粧品業界ならではの「企業・ブランド同士の競争状況」や「流行の移り変わりの早さ」という要因があったという。その課題に向き合うべく、通販事業を通じてどれだけ長く買い続けてもらうかを重視してきたと村岡氏は続ける。
「化粧品業界においては、トップブランドであってもEC上におけるシェア率は全体の数%ほどと低い。つまり化粧品ECは新規獲得のチャンス自体は多いが、顧客をロイヤル化するのが難しい業界なのです。
そのような業界の状況を打破するため、多くの化粧品メーカーが顧客接点を拡大して購入回数を増やしてもらう、オンライン上のデータを獲得して顧客分析を行うという目的で定期購買やECに注力し、ロイヤル化を図ってきました。リアルチャネルに強いと考えられていた百貨店に陳列されるデパコスを販売するメーカーであっても、ここ数年でEC化率は一気に高まってきています」(村岡氏)。
また近年は、競合との競争やEC上での広告投下が各社強まっていることで、新規顧客の獲得が難しい状況にある。さらに既存顧客の育成に力を入れる化粧品メーカーが増えているのだという。
「現在は新規獲得のコストが上昇していることもあり、予算としては依然新規層に対しての投資比率が高いです。しかし同時に、既存顧客の育成に時間や手間をかけて取り組むことも増えています」(村岡氏)。
身の回りのものをファンケルで揃えてもらう
顧客育成に取り組むにあたって、まずファンケルでは既存顧客向けの調査を実施。その結果、ファンケルの商品を買い続ける期間の長さに比例して、購入金額も高くなる傾向にあると判明した(図)。
ファンケル調査による、初回購入からの経過期間に応じた平均購入金額の推移。左から右へとファンケル商品の購入期間が長くなるほど、購入金額が伸長していくことがわかっている。
「商品を長く愛用してくださっているお客さまほど、信頼度が上昇し『次はこのカテゴリでもファンケルの商品を使ってみようかな』とブランド内の買い周りが発生しやすいという予測が調査によって裏付けされたため、社内からも既存顧客向け投資の正当性を理解してもらうことができました。そこから買い回りがなぜ発生しやすいのかと考えた際に着目したのは、当社の商品数の多さです。洗顔料やクレンジングからはじまり、次にスキンケア、そしてサプリメント……と、身の回りの基礎化粧品や健康商品をファンケルで揃えてもらいやすいことが勝ち筋になると考えました……
……本記事の続きは、月刊『販促会議』2025年4月号、およびデジタルマガジン(ご購読が必要です)にてお読みいただけます。
