せっかくおもしろくてユニークな企画を実行したとしても、話題にならなければその施策が世に広まることはない。「魅力的な企画を世の中の目に触れさせるためには、自社の強みを活かした話題化が必要だ」と、地球の歩き方 ライセンスチームの半田智志氏は話す。
本記事は月刊『販促会議』2025年5月号の転載記事です。
『地球の歩き方』はコロナ禍で海外への渡航が制限されたこと。によって、売上95%減となった。その後、海外旅行のガイドブックが中心だった事業の方針を転換して発売した、コラボ本や国内シリーズ、コラボ商品などがヒットしている。
ブランドへの信頼と意外性のあるコラボ
事業転換の経緯について、地球の歩き方 観光マーケティング事業部ソリューション室 室長代理の半田智志氏はこう話す。
「今まで地球の歩き方といえば、海外旅行という“非日常” をテーマとしたガイドブックを展開する会社でした。しかしコロナ禍を経て、旅行や外食といった“非日常” を楽しむ習慣が減少。それをきっかけに“非日常” の時だけ必要とされるのではなく、消費者の“日常” 生活に入り込めるブランドになることを掲げ、商品開発をしてきました。そこで始まったのが、『地球の歩き方』ブランドをライセンスとして展開するコラボ事業です」(半田氏)。
キャリーケースやポーチなどの旅行グッズも販売している中、特に話題なのが、グミやカレーのメーカーとコラボした食品系の商品。現地で食べたような本格的な味わいが人気を集めた。
2024年1月に発売した、エスニック商材を開発する36チャンバーズ・オブ・スパイスとのコラボ商品「世界のカレー図鑑 レトルトカレーシリーズ」。地球の歩き方が発刊していた書籍がきっかけのコラボで、本格的な味わいが話題になった。
「数ある食品の中でも、まずは足を運びやすいコンビニに置かれているような商品とコラボした方が良いと考えていました。コンビニで販売できると、商品が多くの人の目に触れやすく、話題化しやすいと考えたためです。当社が食品コラボに注力し始めたのは2023年。当時、注目度が高まっていたグミから始めることになりました」(半田氏)。
また、「世界のカレー図鑑 レトルトカレーシリーズ」は、「旅の図鑑シリーズ」として同社が発刊した『世界のカレー図鑑』を見たメーカー側からオファーがあり、展開した商品。イギリスのチキン・ティッカ・マサラ、タイのゲーン・ハンレー、エチオピアのドロ・ワット全3種を展開した。
「海外旅行のガイドブックを展開してきた当社には海外旅行経験者が多いため、本場の味を知る社員の力を借りてフレーバーの開発を進めました。現地取材に基づいたガイドブックを45年発刊してきた『地球の歩き方』ブランドを信頼して、『食べ物もきっとおいしいだろう』と購入する方も多かったようです」(半田氏)
書籍をおろそかにはしない話題化の方法とは
しかし商品の味がいくら本格的であっても、まずは食べてもらわなければ良さは伝わらない。言い換えれば、いかにユニークでおもしろい商品であっても、「話題化」を達成するためには戦略が必要なのだ。……
……本記事の続きは、月刊『販促会議』2025年5月号にてお読みいただけます。
