『小学一年生』が創刊100周年でユニーク施策 ドラえもんが飛び出す!3Dビジョン広告の舞台裏

街行く人々の視線を集め、SNS拡散による話題化につながる手法として注目を集めている3Dビジョン広告。小学館は雑誌『小学一年生』の創刊100周年施策として、5・6月合併号の付録「ドラえもんどこでもボイススキャナー」の訴求を目的に、3Dビジョン広告を活用した。本キャンペーンに携わった小学館、Candee、小学館ミュージック&デジタルエンタテイメント(SMDE)、パス・コミュニケーションズの4社に、話題化する広告制作のポイントについて話を聞いた。

4月号より話題が薄れがち 5・6月合併号の訴求に活用

写真 人物 集合

小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント 映像事業本部 制作1部 部長 河野貴弘氏、小学館 マーケティング局 雑誌事業室 課長 出村大進氏、パス・コミュニケーションズ 取締役 常務執行役員 安吉康治氏、Candee プロデュース2部 プロデューサー 松田理恵子氏

2025年で創刊100周年を迎えた小学館の学習雑誌『小学一年生』。

100周年のプロモーションにおいて重視したのは、読者である小学1年生はもちろんのこと、その家族・保護者、これまでの読者(かつて小学一年生だった人)、未来の読者も含めた全世代へのアピールだと、同社 雑誌事業室の出村大進氏は語る。本誌100周年を盛り上げるべく、2025年に入ってからは、都営三田線神保町駅でホームドアジャックや電車到着メロディ変更など、話題化を狙った広告企画を展開してきた。

『小学一年生』では、毎年新一年生の入学直前に発売する4月号の売上が最も高くなる。一方で、入学後に発売となる5・6月合併号の販促には毎年課題を抱えていた。「入学前に家族・親戚から贈呈品として購入されるケースが多い4月号に対し、5・6月合併号は入学後の慌ただしい時期と重なり、購入が後回しになりがちです。そのため、付録をカギにした訴求で話題化したいと考えていました」(出村氏)。

5・6月合併号の付録は「ドラえもんどこでもボイススキャナー」。子どもたちが楽しみながらお金の計算などを学べる学習要素の高い付録だ。実際の付録の使い方や遊び方を理解してもらえるよう、動画で効果的に伝え、口コミやSNSで話題が拡散するような施策を検討していたところ、パートナー企業であるパス・コミュニケーションズから提案されたのが3Dビジョン広告だった。

人気キャラの3Dビジョン広告で 人々の記憶に残る広告体験を

パス・コミュニケーションズは、渋谷、梅田といった主要都市で大型3Dビジョンを含む屋外広告事業を展開。2024年春にも、小学館と連携し、劇場版『名探偵コナン』の公開にあわせて梅田で3Dビジョン広告を放映した実績がある。取締役 常務執行役員の安吉康治氏は、「キャラクターを活用した3DビジョンはSNSで話題になりやすく、広告効果も高い。『小学一年生』100周年記念企画でも、国内外で人気のドラえもんというキャラクターを活用することで、観光客も増加しているこのタイミングで大きな話題化を狙えると考えました」と語る。

今回の3Dビジョン広告の制作は、パス・コミュニケーションズのほか、動画制作やCG制作を得意とするCandee、小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント(SMDE)など小学館グループの企業が参画。ワンストップで企画から放映まで対応できる体制を構築した。出村氏はこのチーム編成について、「長年の付き合いのなかで『小学一年生』のブランドイメージを深く理解してくれているパートナー企業ばかりなので安心でした。『攻めるところと守るところ』のバランス感覚も共通認識としてあったため、より良いものが生まれたと思います」と語る。

ディレクション全般を担当したCandeeの松田理恵子氏は「30秒という限られた時間のなかで、ボイススキャナーの特徴や使い方などを通して『学びの深さ』が伝わるようにこだわりました。動きに制限のあるドラえもんの着ぐるみを使った撮影や出演する子どもの演出など、工夫が必要な部分もありましたが、パートナー企業間だからこそのスムーズな情報連携により、短期間で質の高いクリエイティブ制作を実現できました」と振り返る。SMDEの河野貴弘氏は、3D制作のノウハウを活かしドラえもんの3Dモデルを制作。「過去に制作したドラえもんのCGデータがあったため、大型ビジョンにCGを合成した際のシミュレーションをスムーズに行えました。腕の動きや3Dの見え方などを事前に検証できたのが成功のポイントでした」と語る。

3Dビジョン広告のイメージ

撮影の様子

3月31日から大阪・梅田の「dipビジョン」と、東京・新宿の「クロス新宿ビジョン」で掲出する3Dビジョン広告のイメージ(左)と、撮影の様子(右)。©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

周りにいる人と感動を共有できる OOH広告の可能性を実感

今回の3Dビジョン広告は、5・6月合併号の発売(4月11日)に合わせ、大阪・梅田の「dipビジョン」と、東京・新宿の「クロス新宿ビジョン」で3月31日から放映。「dipビジョン」はパス・コミュニケーションズが運営する関西最大級の3Dビジョンで、「クロス新宿ビジョン」は巨大な3D猫が話題の屋外ビジョンだ。どちらもアーチ状の形状をしたビジョンで、3D映像が飛び出して見えやすい特徴がある。

『小学一年生』の100周年施策では、従来のマス広告やWeb広告に加える「最後の味付け」としてOOH広告を活用した。しかし結果として、映像は社内でも好評の仕上がりとなり、100周年企画のメインメディアとなったという。「大きな節目の大々的な施策には、OOH広告は欠かせない存在だと、改めて実感しました。神保町駅の広告ジャック企画では多くの人が現地に来て写真撮影をしてくれていましたが、今回の3Dビジョン広告でも同様の反響を期待しています。昨今リアルな顧客接点の重要性が見直されるなか、OOH広告はその場に居合わせた人たちと感動を共有できる特別なメディア。ARやXRなどの技術進化にも大きな可能性を感じています」(出村氏)。

OOH広告はテレビの視聴率のような明確な共通指標がないのが課題だったが、同社では位置情報やAIカメラを活用し、到達度を測る努力もしているという。「今後、よりOOH広告を活用しやすくなる環境が整うはず。小学館グループのネットワークを活かし、面白くて話題性のある広告体験を創造していきたいです」(安吉氏)。

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お問い合わせ

株式会社パス・コミュニケーションズ

住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-30 昭和ビル4F
TEL:03-5216-3011 
URL:https://pas-com.co.jp

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