生成AIは、デザインの世界に新たな可能性をもたらしている。Takramデザインエンジニアの櫻井稔氏は、AIと人間の役割をどう結び付けるかが、これからのデザインに求められる重要な視点だと説く。
本記事は月刊『宣伝会議』2025年5月号の転載記事です。
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生成AIは「無限ガチャ」である
UberやTikTok、YouTubeなど、人々の生活において“データ”を活用したサービスは身近なものになりました。これまで専門家だけが扱っていたデータが、今やあらゆるビジネスに取り込まれています。生成AIについても同様で、現在、さまざまな場面で社会実装が進んでいます。デザイン・イノベーション・ファームであるTakramでも「生活の中にAIがどのように組み込まれていくか」をテーマに、サービスやプロダクトをデザインしています。
普段使用しているAIツールには、ChatGPTやClaude、GitHub Copilotなどがあります。また画像生成系では、Stable DiffusionやDALL-Eなどをプログラムに埋め込む形で活用しています。
しかし、現代において重要なのは、生成AIがどのような仕組みで動作しているのかを理解することです。「なぜこのようなアウトプットが生成されるのか」を把握することで、その優れた点や従来のモデルとの違いが浮かび上がってきます。
デザインツールとしての生成AIは、まだ成長の途上にあります。Takramでは、この段階の生成AIを「無限ガチャ」と表現していますが、試行回数を重ねることで、ようやくある程度想定したアウトプットに近づいていくというのが現状です。実用に耐えうる成果を得るためには、人間の意志決定が今のところ不可欠です。
現代と、第二次産業革命時代との類似点
「生成AIは過渡期にある」と述べましたが、この状況は、第二次産業革命において機械が導入された際の状況と似ていると考えています。
19世紀末、それまで職人が手作業で行っていた仕事が機械に置き換えられ、大量生産された粗悪な工業製品が市場にあふれました。新しい技術が誕生したことで、人間の手作業の意味は薄れていきました。
その状況に異議を唱えたのが、イギリスで起こった「アーツ・アンド・クラフツ運動」です。建築家や工芸家たちが手工芸の価値を再評価する活動を行い、工業と芸術が結びつく「デザイン」の概念が世の中に定着していきました。
かつて建築家や工芸家たちが工業と芸術を結び付けたように、生成AIと人間の役割を融合させることが、私たち2020年代のデザイナーの使命だと考えています。アーツ・アンド・クラフツ運動の流れを受けて生まれた芸術学校「バウハウス」では、色彩理論など、現在のデザインの基盤となる概念が体系化されました。そして今、生成AIという新技術を基盤に、新たな「デザイン」を定義することが求められています。
…この続きは4月1日発売の月刊『宣伝会議』5月号で読むことができます。
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