「広報の定義」に関するアンケート結果を発表
日本広報学会は3月18日、広報関係者が情報共有を行うシンポジウムを上智大学で開催した。2023年6月に公表した「広報の定義」に関する経営者へのアンケート結果をもとに、広報に求められるスキルや、経営者の「広報への期待と現実」のギャップなどについて意見交換するパネルディスカッションを実施した。
上智大学文学部 新聞学科の国枝智樹准教授
パネルディスカッションでは、同学会の柴山慎一理事長、上智大学文学部 新聞学科の国枝智樹准教授、日清食品ホールディングスの執行役員兼CCOグループコミュニケーション責任者の花本和弦氏、NTTデータグループの元代表取締役で相談役の本間洋氏が参加した。
2023年に発表された広報の定義は「組織や個人が目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションを通じて、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である」としている。広報を「経営機能」の一つとして捉えていることが特徴だ。
この定義に関して、2024年10月16日~11月15日にアンケート調査を実施した。同学会の設立30周年記念事業の一環であり、3926社の上場企業の経営者が対象となり、207社が回答した。
調査結果によると、経営者の95.2%が広報を「経営機能」と定義することに賛同しており、半数以上の企業が「経営機能として広報が十分に機能している」と感じていることが分かった。一方で、広報が経営者の期待に応えきれておらず、期待と現実の間に大きなギャップが存在していることも判明した。
広報責任者が役員層である企業では、広報の経営機能としての発揮度が高く(77.2%)、期待と現実のギャップが小さいことも判明。一方、広報専任部署が存在していない企業では広報機能の発揮度は19.3%にとどまり、期待と現実とのギャップも大きかった。非役員層が広報責任者を務める場合や、経営会議体への参加機会が限られる場合などでは、経営機能としての広報の役割を十分に果たせない可能性があるという。