物価高でも低価格維持 前年比2倍成長のセブン&アイPB、ラインアップ強化

コスト削減のカギは「引き算」

セブン&アイ・ホールディングスは3月31日、イトーヨーカドーなどで扱っているプライベートブランド(PB)「セブン・ザ・プライス」の新商品20品目を発売する。追加されるのは「餃子」や「3種の割れせんべい」などで、イトーヨーカドーやヨークなど約450店舗で展開する。

同ブランドは、シンプルな商品設計などにより低価格を実現。物価高騰が続く中、ナショナルブランド(NB)商品の実勢価格と比較して10~20%安い価格を設定し、2024年度の売上は前年の2倍を達成した。物価高による価格転嫁が相次ぐ中、1商品当たりの販売量を増やす戦略が奏功している。

写真 人物 イトーヨーカ堂フード&ドラッグ事業部の土居仁副事業部長

イトーヨーカ堂フード&ドラッグ事業部の土居仁副事業部長

物価高騰により、消費者の購買意欲の低下や節約意識の高まりが顕著になっている。同社の事業環境も原材料の高騰などにより厳しさを増している。

高価格帯と低価格帯で消費の二極化が進む中、同社は低価格帯の訴求にも力を入れている。イトーヨーカ堂フード&ドラッグ事業部の土居仁副事業部長は「これまでは『松竹梅』の『竹』を中心に商品開発と売り場づくりを行ってきたが、手薄だった『松』と『梅』を強化していく」と語る。「セブン・ザ・プライス」は、「梅」にあたる商品として、今回のラインアップ強化に至った。

同ブランドは2021年7月に販売を開始し、商品点数は当初の11アイテムから、2025年2月末には222アイテムに拡大した。2025年度は、購買頻度の高い商品を中心に約300アイテムまで拡充を目指し、売上は前年比120%を目標とする。

パッケージの色を3色以内に抑えるほか、物流の生産効率向上やシンプルな商品設計によりコスト削減を実現している。商品開発のキーワードは「引き算」としており、新たな機能を加えるのではなく、シンプルな設計を優先している。

価格設定は、競合の価格やその価格を実現できる理由を研究したうえで決定しているという。物価高騰下での低価格戦略について、土居氏は「時代に逆行している動き」と認識しつつ、「しっかり物量を売っていくことを意識している」と語る。今後も当面は値上げしない方針だ。

新商品の訴求施策として、イトーヨーカドーとヨークの196店舗で、同ブランドのポイント10倍キャンペーンを4月2日から6日までの5日間実施する。2024年7月1日からスタートした紙媒体の売場連動型フリーマガジン「はとぼん」4月号でも、同ブランドを使用したアレンジメニューを紹介する。

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