(左から)越境 統合クリエイティブディレクター/取締役 門井舜さん、統合クリエイティブディレクター/代表取締役 代田淳平さん、統合プロデューサー/取締役 水谷亮太さん。
組織開発まで関わり、事業成長を実現
越境は2020年9月、代田淳平さん、近藤綾香さん、門井舜さんの3人を中心に設立された。当初は統合キャンペーンのプランニングを中心に手がけていたが、年々その領域が広がっている。設立2年目以降は中長期でブランドの課題解決に携わるように。最近ではブランドとビジネスの融合や事業成長を実現するプロジェクトが増加し、組織開発まで広く関わっている。
インパクトのある「越境」という社名には「自分たちが進化し続けることで、クライアントに事業の変革、イノベーションという“越境”をもたらす存在になりたい」といった想いが込められている。「クライアントの事業が上手くいっていないのであれば、それは従来のやり方では難しいということ。未知なる課題を解決するには大胆な変革を提案することが必要だと考えています」と代表取締役の代田さんは説明する。
その中で同社が確立したのが「事業越境プランニング」だ。事業越境のためのゴールを定め、統合的なクリエイティブディレクション、プロデュースを通じて、目的実現のために価値創造から組織づくりまで携わるという一連の取り組みを提供している。
2024年12月には統合プロデューサーとして、広告業界を経て保育園関連事業で起業した経験を持つ水谷亮太さんも経営に参画。プロジェクト内容や課題に応じ、プランナーやデザイナー、マーケターといった外部人材とともにチームを組んで、課題解決に取り組んでいる。
旧来の広告業界のようにコミッション制を採らないという点も特徴だ。「マージンを完全放棄し、関わるスタッフそれぞれのフィーを明確にすることで、クライアントからも各業務について直接フィードバックをもらえる。各々が成果にコミットするからこそ、プロジェクト全体のスピードも上がります」(代田さん)。
越境が提案する「事業越境プランニング」の流れ。
「事業越境プランニング」の実践例
「事業越境プランニング」を実現した代表例のひとつが、東急不動産が2023年5月にスタートした取り組み「PROJECT LIFELAND SHIBUYA」だ。渋谷駅を中心とする半径2.5キロ圏内を「広域渋谷圏」として活性化を目指すもので、越境はプロジェクトの統合クリエイティブディレクションとプランニング、ストラテジー、営業を担当した。
東急不動産は2023年以降、フォレストゲート代官山、東急プラザ原宿「ハラカド」、渋谷サクラステージなどを開業。2025年3月には代々木公園 BE STAGEも開業した。一方で東急不動産が「各施設のデベロッパー」から「まち全体をつくる会社」へと変革し、“100年に一度の渋谷開発をリードする存在”というイメージの醸成が課題となっていた。
そこで越境では、まちに関わる“人”の価値に着目し「人と、はじめよう。」をタグラインに設定。プロジェクトのブランディングやプレス発表会全体のプロデュース、東急不動産社内の会議体の設計、ワークショップの実施や組織づくりなどにも関わり「広域渋谷圏」の取り組みを活性化させた。その結果、東急不動産の大幅な事業成長に寄与した。
このほかメーカーとの協働も多い。越境の設立以前から、クラフトビールで知られるヤッホーブルーイングのブランド戦略サポートやブランドアクションの企画立案、PR文脈設計、クリエイティブ開発を担ってきた。2020年にローンチした、型にとらわれない活動をしている実業家・芸術家などにビールを提供し支援するプログラム「よなよなビアファンド」もそのひとつだ。
カンロとのプロジェクトでは、キャンディの新商品「透明なハートで生きたい」(2023年5月)の開発をリード。10代の飴離れが進む中で、飴の根源的価値を“時間を濃くする”と定め、その原体験をつくる変革に寄与した。具体的には現役高校生を「キャンディディレクター」として任命。彼女たちと商品コンセプト、キャンディの味や見た目、ネーミング、パッケージデザイン、プロモーションなど細部に至るまで、会議や試作を重ねていった。
東急不動産 広域渋谷圏開発ブランディング/PR「PROJECT LIFE LAND SHIBUYA」。
ヤッホーブルーイング「よなよなビアファンド」。
ミスズライフ「奇跡のぶなしめじ」プロジェクト。
カンロ/ Z世代 飴の原体験共創プロジェクト「透明なハートで生きたい」。
イトーキ 組織開発支援。
“ご機嫌な経済圏”がGDPを高める?
「事業越境プランニング」と両輪となっているのが、越境が大切にしている“ご機嫌な経済圏”をつくるというカルチャーだ。ステークホルダーが自身の能力を自由に発揮し、常に笑顔で健やかに仕事ができる世界観のことで、「誰かのルールの中で勝つのではなく、独自の価値やポジションを磨き上げることで面白い仕事を続けられる状況をつくることが理想」と代田さん。自社内はもちろん、クライアントの事業成長の先にもそのようなゴールを描いている。
「課題に直面している企業はもちろんですが、現在順調に事業を進めている大企業などにも、実は未来の事業越境の可能性が広がっているはず。好調な事業をさらに越境させることで新たな経済圏が多数生まれたら、日本のGDPが1.5倍になるかもしれない。そういうプロジェクトの提案に意欲的に取り組んでいきたいです」(門井さん)。

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