パーソルテンプスタッフの友澤大輔氏とアドフレックス・コミュニケーションズの寺前大輔氏は、3月4日、5日に開催された「宣伝会議マーケティングサミットPREMIUM 2025」に登壇。友澤氏は業界を取り巻く状況や広告主の危機感について語り、寺前氏はこれらの課題に対応する自社のソリューションを紹介した。
広告出稿から効果までに関わる6つのプレイヤー
アドフレックス・コミュニケーションズは、指名検索時に表示される他社サイトに対して、その検知から出稿停止までを担うサービスを提供している。同社の寺前大輔氏はその背景として、広告出稿から効果に関わる6つのプレイヤーの存在について説明した。
1つ目 は「広告主」。広告予算をもとに、収益性をいかに向上させるか。経営力やマーケティングのノウハウをどのように高めるかを常に考えている。2つ目は「広告代理店」。 広告運用力をどう向上させるか。広告主に対し、どのような戦略を立案し、新しいテクノロジーやデータを活用してクライアントの課題を解決するかに日々取り組んでいる。3つ目は「メディア・プラットフォーム」。近年、アルゴリズムの変化やプライバシー規制、アドフラウド(広告詐欺)など、対処すべき課題が増えているという。
4つ目は「競合企業(他サイト)」。 広告主の視点から見ると、競合企業が自社名やサービス名を使って指名検索時に広告を出稿するケースがある。テレビCMなどで指名検索を増やすのは、ビッグワードと比較してCPA(顧客獲得単価)が10分の1から20分の1に抑えられるためだ。今回の主題は、この課題への対応策となる。
5つ目は「消費者」。 アドブロッカーの使用、広告スキップの増加、インフルエンサーやコンテンツクリエイターの影響力の拡大など、消費者行動の把握はますます難しくなっている。
6つ目は「政府や業界団体」。 広告の法規制やガイドラインの策定、独占禁止法、景品表示法、個人情報保護法など、多様な要因が影響を与えているという。
これら6つのプレイヤーが絡み合う中で、自社ブランドの価値を守りながら広告効果を最大化するために、企業はどのような戦略を取るべきかが問われている。
アドフレックス・コミュニケーションズ ストラテジックパートナーユニット 執行役員 寺前大輔 氏
多くの企業が直面する「指名検索」時の他サイト表示の課題
寺前氏とともに登壇したのは、パーソルテンプスタッフの友澤大輔氏。友澤氏は、日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア専門委員の立場から、「多くの企業が指名検索時に他サイトが表示されることに危機感を抱いている」と指摘した。
この課題をさらに掘り下げると、検索エンジンでブランドワードを検索した際に競合企業の広告が表示されるケースが多いという。指名検索を行ったユーザーに対し、関係のない企業のリンクやアフィリエイトサイト、さらには海外サイトが提示されることは、企業にとって深刻な問題だと友澤氏は考えている。
友澤氏はさらに、「当社ではこれまで、目視での確認や広告管理アカウントを用いた分析を行ってきた。その結果、インプレッションシェアの低下の原因を調査する中で、他サイトの表示という問題に直面した」と、自社での経験を交えて指摘した。
当初、社内のマーケティング担当者が該当企業に対し、電話やメールで掲載の控えを求める対応を行っていた。この結果、一定数のサイトの出稿停止にはつながったものの、対応にあたる社員のモチベーション低下が新たな課題となった。そこで導入したのが、アドフレックス・コミュニケーションズのサービスだった。
パーソルテンプスタッフ マーケティング管掌 執行役員CMO 友澤大輔 氏
他サイトの出稿停止に至る4つのステップ
寺前氏によれば、自社の指名検索時における他サイトの広告出稿を停止させるまでのプロセスは、4つのステップに分かれる。
1つ目は 「発見」。このプロセスには手間がかかり、広告アカウントの管理画面ではすべてを確認できないうえ、検索したデバイスの所在地によって表示される広告が異なるため、完全に把握するのが難しいという課題がある。
2つ目は 「広告主への相談」。しかし、問い合わせ先が不明なケースや、交渉次第では相手側からクレームを受ける可能性もあり、スムーズに進まないことが多い。
3つ目は 「紳士協定」。合意に至れば出稿を停止できるが、相手が強い意図をもって広告を出稿している場合、単なる申し入れでは対応してもらえないこともある。
そして4つ目が 「出稿停止(除外)」。合意に基づき停止されたはずの広告が、実際には除外されていないケースもあり、再度問い合わせる手間が発生することも少なくない。
友澤氏は、「この一連の対応によりマーケターの時間とモチベーションが奪われる」「指名検索されても他サイトへ流れてしまうことで機会損失が発生する」と指摘。しかし、これまで有効な解決策はなかった。
他社サイトの発見から出稿停止までをワンストップで
こうした課題に対し、アドフレックス・コミュニケーションズが提供するのは、自社の指名検索ワードに基づいて広告を出稿している企業の可視化から、出稿除外の完了までをワンストップで実現するサービスだ。
競合企業の広告出稿を発見した場合、(1)IPアドレスの制約を受けず全国47都道府県の出稿企業を網羅的に検知、(2)ダッシュボードで可視化、(3)広告出稿企業へのアプローチ、(4)応諾後の再調査までを一貫して対応する。
広告出稿企業へのアプローチは、同社が擁する熟練のコールセンタースタッフが専任で担当。1社ずつ丁寧にメールと電話で交渉を行うことで、除外件数を増やし、指名検索のクリック率向上や 広告効果の最大化につなげている。
パーソルテンプスタッフでは、同サービスのシステムを導入するだけでなく、「パーソルテンプスタッフの社名を出すオペレーターのメールや架電内容を協議し、“パーソルテンプスタッフらしさ”を担保しながら、除外の促しを進めた」と友澤氏は効果を実感。また、「自社スタッフのモチベーションを維持しながら、マーケティングやプロモーションの改善といったコア業務により多くの時間を割けるようになった」と述べた。
最後に友澤氏は、「メンバーのQOLを維持し、コア業務に集中することで成果を上げるのは、広告主や広告代理店に共通する課題」であると指摘。そのうえで、「悪意のある企業が存在するなか、“ブランドを守りながら攻める”ためには、従来のやり方を進化させ、防止策に一定のコストをかける時代になっている」と締めくくった。
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