「誤り」ではなく「過ち」とすべき
第三者委員会の報告後に行われた清水賢治社長の会見についても、「及第点」と評価。これまで会見に臨んだ港浩一元社長らと比較すると、清水社長は冷静に質疑応答に対応していたという。一方で、一定の評価をしつつも「対応が遅すぎたうえに、まだ十分とは言えない」と指摘。「1月17日の段階で、日枝取締役を筆頭に経営陣を刷新すべきだった」との見解を示した。
清水社長の発言の端々には「穏便に済ませたい」という本音がにじみ出ているとも指摘。その例として、4月1日に開催されたフジテレビの入社式での社長のあいさつにおいて、「誤りを修正する力」という表現を用いた点を挙げ、「『誤り』ではなく『過ち』と表現すべきだった」と強調。「修正」という言葉の軽さにも言及した。こうした言葉一つで、反省の姿勢が受け手に十分に伝わらない可能性があるとし、真摯な姿勢を示すためには、一つ一つの言葉選びに細心の注意を払う必要があると強調した。
テレビCM「拙速に再開すべきでない」
第三者委員会の報告を受け、キリンHDやサッポロビールなどがCM出稿の再開を見送る一方で、サントリーHDは再開を検討する意思を示すなど、各社の対応が分かれている。これについて、影山教授は「拙速に再開すべきではない」と警鐘を鳴らす。清水社長が提示した改善策は、一朝一夕で実現できるものではなく、一定の成果が出始めてから初めて再開を検討すべきだと指摘した。
一連の問題は「穏便に済ませたい」という気持ちを見せたことが、大きな炎上を招いたが、影山教授は「スポンサーも他人事ではない」と強調。第三者委員会の報告では、人権を軽視した企業風土や習慣はメディア・エンターテインメント業界全体で改善していくべきだと指摘されたが、一般企業も自社の問題を徹底的に洗い出す必要があると述べた。フジテレビに見られた慣行は、日本社会全体で根付いたものとして考えるべきであり、「『フジテレビは』ではなく、『私たちは』という主語で問題を捉える必要がある」とまとめた。

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