【関西万博】河瀨直美パビリオン、コピーライターが考える184種の「対話」

4月13日に開幕する大阪・関西万博。9日にはメディアデーとして報道陣約4500人に万博の内部がお披露目となった。その会場の中央部に位置するのが、8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」だ。

8人のプロデューサーは石黒浩、落合陽一、福岡伸一、河瀨直美、河森正治、小山薫堂、中島さち子、宮田裕章。いずれも「いのち」について考える内容となっている。

映画監督の河瀨直美氏のパビリオンは「いのちを守る」がテーマ。廃校となった奈良や京都の校舎を移設し建てられたパビリオン内部のシアターでは毎日、日替わりで異なる内容の「対話」が繰り広げられる。

写真 8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」
写真 8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」
写真 8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」

「対話」のテーマは184種あり、万博の開催期間中は毎日異なるテーマが用意されている。このテーマを考えているのが、本パビリオンの企画制作に参加している博報堂のチーム。クリエイティブディレクターの井口雄大氏、コピーライターの川上茉衣氏らだ。

取材当日の対話テーマは「世界中の人が、あなたの言葉を待っているとしたら、何を伝えますか?」。入場時にこのカードが配られ、テーマは日替わりで設定されている。

写真 入場時に配られた対話カード。スポンサー企業である、資生堂が樹木との共生を掲げるブランド「BAUM」の香りを染み込ませている。

入場時に配られた対話カード。スポンサー企業である、資生堂が樹木との共生を掲げるブランド「BAUM」の香りを染み込ませている。

「対話」のテーマは他に、「最近、あなたは何色ですか?」「今日いいことが起こるとしたら、誰に起きてほしいですか?」「これまでの人生でいちばん重要な決断はなんでしたか?」「この世界でいちばんやわらかいものはなんですか?」「ついていい嘘とついてはいけない嘘の境目はどこにあると思いますか?」など。

写真 「対話」を実施するシアターで説明する、計画統括ディレクターの杉山央氏(新領域)。

計画統括ディレクターを務めた杉山央氏(新領域)は、森ビル出身でアートイベントなどのプロデュースなどを務めてきた。「万博開催期間の184日、毎日異なる対話を用意しています。世界の分断を全てなくすことはできないかもしれませんが、人と人が対話をして、理解し合うことで分断の解消につながれば」と話す。

「対話」を想起させる吹き出しの形のアイコン

写真 シアター内では、このパビリオンで選ばれた「対話者」と、スクリーンの向こうにいる「対話者」が約10分の対話を繰り広げる。

入場後はパビリオン内の庭を巡り、校舎の中を進み、シアター手前のホワイエでカードに印のある人が集まり「対話者」を決定。シアター内では、このパビリオンで選ばれた「対話者」と、スクリーンの向こうにいる「対話者」が約10分の対話を繰り広げる。

写真 この日のエンディングムービーはイスラエルの監督、ケレン・ベン・ラファエル氏が制作した映像が流れた。

この日のエンディングムービーはイスラエルの監督、ケレン・ベン・ラファエル氏が制作した映像が流れた。

来場者はシアターの座席から、その様子を鑑賞。最後には河瀨監督を含む世界6カ国の監督が撮影したエンディングムービーによって「対話」が世界にもたらすものを考えさせてくれる。

これらのアトラクションを通じて、分断が多く生じる世界の中で「対話」による世界への問いかけや相互理解を促す、という仕掛けだ。パビリオンのタイトルは「Dialogue Theater いのちのあかし」とした。

「対話」を想起させる吹き出しの形のようなアイコンは、博報堂のアートディレクターである川辺圭氏が手がけた。“いのち”に光を当てるという意味合いから、スポットライトを当てたようなデザインとなっている。

写真 「対話」を想起させる吹き出しの形のようなアイコンは、博報堂のアートディレクターである川辺圭氏が手がけた

スタッフの衣装は皆川明氏によるもので、同様に吹き出しのモチーフがデザインに取り入れられた。ジェンダーレスなデザインとし、スポンサー企業である資生堂の協力によりモチーフを取り入れたメイクも施した。

写真 スタッフの衣装は皆川明氏によるもので、同様に吹き出しのモチーフがデザインに取り入れられた

写真 スタッフの衣装は皆川明氏によるもので、同様に吹き出しのモチーフがデザインに取り入れられた

写真 スタッフの衣装は皆川明氏によるもので、同様に吹き出しのモチーフがデザインに取り入れられた

「筋書きのない人々の対話を映し出す、河瀨監督の映画の世界観が現れているパビリオンだと思います思います。テクノロジーショウケースとなる万博において、人間の本質をとらえて“対話”の目撃者になる体験を楽しんでいただきたいです」と杉山氏は話している。

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スタッフリスト

テーマ事業プロデューサー 河瀨直美
計画統括ディレクター 杉山央(新領域)
展示企画ディレクター 佐藤哲也(ソニーマーケティング)
建築設計 周防貴之(SUO)
植栽・環境デザイン 齊藤太一(DAISHIZEN)
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CD 井口雄大(博報堂)
AD 川辺圭(博報堂)
C 川上茉衣(博報堂)
PRプランナー 高橋啓一(博報堂)
藤波真由(博報堂)
入江遥斗(博報堂)
映像コンテンツ制作 北條美穂(組画)
松島恵(組画)
建築設計 佐藤元希(SUO)
中島晃一(SUO)
平岩良之(平岩構造計画)
藤本貴之(平岩構造計画)
山崎遼(総合設備コンサルタント)
石田潤(総合設備コンサルタント)
井口勉(総合設備コンサルタント)
桝井貴廣(総合設備コンサルタント)
植栽・環境デザイン 鈴木俊(DAISHIZEN)
安井将人(DAISHIZEN)
松江大輔(DAISHIZEN)
森川健人(DAISHIZEN)
実施制作統括管理 川西太士(博報堂)
石川慶二郎(博報堂)
池元大(博報堂)
菅波万理乃(博報堂)
小林愛(博報堂)
中田空(博報堂)
コンテンツ制作プロデュース 竹下弘基(TOW)
古林毅朗(TOW)
三瓶博史(TOW)
中村耀司(TOW)
若林大(TOW)
妹尾遥右(TOW)
小路宗汰(TOW)
川瀬万由未(TOW)
角田健(TOW)
山中大輔(TOW)


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