関連記事
「Objective(目的)」と「Goal(目標)」の違い
田中:『君は戦略を立てることができるか』が評判ですね。マーケティング関連の書籍では、例えばデジタルマーケティングなど特定分野のハウツー本は多く出ていますが、核心のところを突いている本は多くない印象があります。そのことが、この本が多くの人に読まれている背景にあるはと考えています。
音部:ありがとうございます。田中先生にそう言っていただくと背筋が伸びます。
田中:書籍を読んで私が気に留めた点について、音部さんとディスカッションを進めていきたいと思います。すでに読まれた方、またこれから読もうという方の参考になればと考えています。
まず本書では、戦略について「目的達成のための資源利用の指針である」と定義づけています。戦略の要素を「目的+資源」としているのは、私も同感するところです。そこでまずお聞きしたいのは目的の決め方について。英語でもGoalとObjectiveなど、複数の解釈ができます。
田中洋(たなか・ひろし)/中央大学名誉教授。京都大学博士(経済学)。東京大学経済学部講師。電通を経て法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学ビジネススクール教授を歴任。社会人のためのビジネススクールで25年間マーケティングの教鞭を執る。『ブランド戦略論』(有斐閣)ほか、マーケティング論、ブランド論を中心に著書多数。
音部:まさに「目的」なのか「目標」なのか、という議論はありますね。『君は戦略を立てることができるか』ではいろいろな要素を混ぜずに話を進めたかったので、基本的に「目的」という言葉に統一しました。
GoalとObjectiveについては、P&Gで使っているOGSMという概念があって、これはObjective(目的)、Goal(目標)、Strategy(戦略)、Measurement(評価)の頭文字を取ったものです。ここでのObjective(目的)は、私の独自解釈も含めると、市場のリーダーになる、誰もが働きたい組織になる、のように、みんなで賛同できる記述であろうかと考えます。