千葉さんは東京大学を卒業し、同大学大学院修了後、電通でメディアバイイングを担当。Gunosy、NOINというスタートアップ2社を経て、2023年よりメルカリにマーケティング責任者として就任しました。電通で培った大型案件のノウハウと度胸、スタートアップで学んだ資金調達や人材採用など、多彩な経験を通してマーケターとしての視野を広めてきた千葉さんは、これまでどのようにキャリアを選択してきたのでしょうか。マスメディアンのキャリアコンサルタント・荒川が伺いました。
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「君にとって必ずいい転職にする」その言葉で大企業からスタートアップへ
━━ご自身のキャリアにおけるターニングポイントはどこだと思いますか?
私のターニングポイントは、電通からGunosyへの転職したことですね。
もともと電通でメディアバイイングを担当していたころは、特に転職は考えていなかったんです。仕事もやりがいはありましたし、なんとなくこのまま広告業界でのキャリアを積むのかなと考えていました。そんなとき、当時Gunosyを経営していた木村新司さんから「大型の資金調達に成功したので、テレビCMを打ちたい。マーケティング担当として来てくれないか」と声をかけられたんです。
私の大学の先輩だった木村さんは「千葉くんの人生にとって、必ずいい転職にする」と言ってくれました。その言葉に木村さん自身の強い意志を感じたんですよね。自分がいい転職だと思わせてみせる、自分が変えていくんだ、と。それに心を動かされたのです。今でも、本当にいい転職になったなと思いますね。
メルカリ
執行役員 兼 VP of Marketing Marketplace
千葉久義(ちば・ひさよし)氏
東京大学卒、同大学大学院修了。2011年に電通に入社し、メディア局でメディアバイイングを担当。2014年にGunosyへ執行役員・マーケティング責任者として入社し、東証マザーズへのIPO、東証一部への市場変更を経験。2019年からスタートアップの取締役COOを務め、2023年よりメルカリで現職に就任。「名前のわからないもの展」など、これまでにない斬新なプロモーション企画にも挑戦。
Gunosyでは入社後すぐに予算を渡されて、テレビCMを任せてもらいました。その時はそれがどれだけ重要なことか、しっかりと理解できていませんでした。電通で大きな金額を扱うことに慣れていたので、麻痺していたんでしょうね。
その後のNOINでは自ら資金調達を経験し、十数億円を集めることがどれほど大変か、身にしみてわかりました。当時30代半ばだった木村さんを思うと、同じ年齢だったとしても私には絶対に真似できないなと、改めて尊敬するとともに背筋が凍りますね(笑)。
━━Gunosyでは他にどのようなお仕事を?
スタートアップで人数が少なかったため、マーケティングだけではなく、CFO直下で経営に近い仕事も経験しました。「事業計画書って何?」という状況でゼロから学んでいったり、人材採用に携わったり。当時鍛え上げられた経営視点は、今でもマーケティングの考え方として役立っています。