万博の目玉である、海外パビリオン。大阪・関西万博では自前で建設する「タイプA」、日本側が用意する建物を使用する「タイプB・C」、日本が建設を代行する「タイプX」があり、合計で約160の国・地域が参加している。
「タイプA」には47の国・地域が参加しており、循環可能な建設やサステナブルなデザインに力を入れている。
欧州でベルギー、フランス、ドイツに囲まれた国、ルクセンブルクのパビリオンもそのひとつ。
万博の終了後はパビリオン施設の部材を大阪府交野(かたの)市に受け継ぎ、市立中学校跡地へ移築し、子ども向けの施設として使用する予定。
さらに最大226個の基礎コンクリートブロックも日本国内でリユースする。リユース先は兵庫県三木市の施設「ネスタリゾート神戸」に決まったと4月13日に発表された。
パビリオンは膜屋根を持つ鉄骨構造。夜にはライトアップとともに幻想的な顔を見せる。(写真/青山航)。
パビリオンの設計自体はルクセンブルクの建設事務所「STDM」が手がけ、日本の建築設計事務所「みかんぐみ」とともに進められた。
建設は日本の内藤ハウス、内装は大日本印刷が手がけている。パビリオン内部のコンテンツや体験デザインの部分は、ドイツの空間デザイン会社「jangled nerves」が手がけ、日本からBASSDRUMが技術サポートに入っている。
パビリオン内部のコンテンツ、空間デザインなどを手がけたドイツの企業「jangled nerves」 代表のトーマス・フント氏。
パビリオン全体のテーマは「Doki Doki ―ときめくルクセンブルク」。内部は大きく3つのゾーンに分かれており、ルクセンブルクの自然や人々の暮らしなどをデジタル技術を用いて紹介している。
入口では「憲法広場にある黄金の女神、ゲレ・フラ」「ルクセンブルク大公宮殿」などの名所をARを使って紹介。
「ルクセンブルクは公用語が3つあり(フランス・ドイツ・ルクセンブルク)、国民の約48%が移民。多様な人種と文化が交わる様子を表現しています。さらに2024年夏から秋にかけてドローンでルクセンブルク国内を撮影して、まるで現地を旅行しているかのような体験を提供しています」(トーマス氏)。
以下、写真とともに見どころを紹介する。
1つ目のゾーン。8台のサイネージが設置され、映像視聴の際は多言語対応している(写真/青山航)。
3つ目のゾーンでは、靴を脱いで映像に取り囲まれた空間に身を置く。足元はハンモックのように跳ねて弾力があるため、寝そべりながら映像を見ていると、まるで現地を旅しているような気分を味わえる(写真1枚目/青山航)。
(左から)技術サポートに入っているBASSDRUM ファウンダーの清水幹太氏、jangled nerves代表のトーマス・フント氏。BASSDRUMは今回の万博で複数のパビリオンやイベントで技術提供、サポートを行っている。清水氏が海外広告賞「D&AD」の審査でトーマス氏と出会い、後日相談を受けサポートすることになった。
