「想造する」ことで機能するコンセプトの極意 どんな気持ちや幸せをつくれるか?

クリエイターの発想の基盤になるのが「コンセプト」です。広告コミュニケーション開発から商品開発まで、明確な「コンセプト」はアイデアを形にする上で重要な役割を果たします。本特集では発想力を最大限に引き出し、効果的なコンセプトをつくり上げるための思考法とプロセスを解説。コンセプトの定義と役割を明確にし、成功事例からその共通点を探ります。さらに、ターゲットのインサイトを掘り起こし、課題を的確に設定する方法を紹介します。
※本記事は月刊『宣伝会議』5月号のシリーズ特集「宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本」の転載記事です。

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千葉貴志氏

電通
未来事業創研/DENTSU DESIRE DESIGN

2008年入社。営業、デジタル、テレビ、電通総研などを経て、現職。クライアントの未来の企業価値を創発する未来事業創研/欲望を基点に現代の消費を読み解く消費者研究プロジェクトDENTSU DESIRE DESIGNに所属。

コンセプトが決まらないのは、ゴールが定まっていないから

ブラウスと電気ポットとワンコインピザ。この3つの共通点は何だと思いますか?答え合わせは後ほど。

私は商品開発や事業開発などに携わることが多いのですが、そのなかで常に重視しているのは、「想造する(“想像×創造”)」ことです。なぜ想造が大事なのか。それは、私が考える「コンセプト」という言葉の定義と大きく関係があります。

コンセプトとは、消費者に対して実現したいゴールやつくりたい未来を指し示し、そこに向かう原動力となるベクトルだと私は定義しています。つまり、コンセプトはゴールや未来を想造できて初めて機能する。私はそう考えています。

商品開発でいえば、「誰にどんな価値を提供するか」を基点にするのが王道と考える方が多いと思います。しかし、大事なのはその先の「その商品によって、どんな気持ちや幸せをつくれるか」を想造すること。その想造をゴールとして設定できれば、思い付きや経験則ではなく、そこに向かうためのベクトルが見えてきます。それが私の考えるコンセプトです。

商品アイデアも、マーケティング戦略も、コミュニケーション戦略も、そのベクトル上に乗せることで、開発から販売まで一貫したブレない拠り所を持つことができるのです。

「コンセプトが決まらない」という事態に陥っているとしたら、おそらく「こんな気持ちや幸せを感じてほしい」という想造が足りておらず、ゴールが定まっていないのが原因です。

ただし勘違いしてはいけないのは、ゴールはあくまで消費者にとってのものであり、販売目標や売上目標といった企業側のゴールではないということ。ここをはき違えてしまうと、消費者の共感を得ることは難しい。

消費者はコンセプトに対してではなく、その商品によって「笑顔や幸せが得られるか」に対して共感するからです。

…この続きは4月1日発売の月刊『宣伝会議』5月号 で読むことができます。

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