ミスミが手掛けるYouTubeでのBtoBマーケティング、始めるコツと効果検証の方法とは

課題解決に向けて少人数で話し合う「テーマ別研究会」。2025年2月14日には第2回「BtoBマーケター研究会」が行われ、ミスミで動画制作に携わる五十嵐公俊氏と石塚直哉氏が登壇。YouTube施策で成果向上を目指すBtoBマーケティング戦略について紹介した。

写真 人物 ミスミで動画制作に携わる五十嵐公俊氏と石塚直哉氏

機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy(メビー)」でものづくりのムダ削減を実現

1963年創業のミスミは、製造業をはじめとしたIA(インダストリアル・オートメーション)産業で使用される機械部品等の流通や製造、EC・カタログでの販売をおこなっています。ミスミが展開する機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy(メビー)」のYouTube施策では「楽しく、明るく、前向きに」をモットーに取り組んでおり、「マーケティングからBtoB製造業を盛り上げたい」と石塚氏。YouTubeのメビー公式チャンネルでは、機械部品などの商品説明、使用事例、機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy(メビー)」の使い方について紹介しており、2024年には日経クロストレンド主催の「日経クロストレンドBtoBマーケティング大賞」の「コンテンツ部門」で部門賞に選出。2024年の動画の制作本数は、長編動画92本、ショート動画128本だった。

メビーは開始から6年目で、ミスミの中では比較的新規事業に分類される。そのため、ミスミの中でもベンチャー気質な組織だという。メビーは、「ものづくりに『創造』と『笑顔』を」をミッションに掲げ、部品調達におけるムダ削減に取り組んでいる。従来は3D CADという設計ソフトで3次元の状態で設計を行い、部品を発注するために2次元の設計図に落とし込む必要があったが、メビーでは3D CADの設計データだけで注文ができるため、設計者の手間が削減され、設計・調達工程における生産性の向上につながる。すべてブラウザ上で完結できる設計になっていることも顧客に選ばれる理由である。

写真 人物 ミスミで動画制作に携わる五十嵐公俊氏と石塚直哉氏

ミスミがYouTube動画を始めた理由とは

メビーのサービス認知はTVCMやSNSの活用により順調に向上し、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省による「ものづくり日本大賞」(第9回)で「内閣総理大臣賞」を獲得。しかしながら、認知は拡大したものの初回利用が伸びない 状態だった。そこで、サービス理解から初回利用を促すことが必要だと分析し、ウェビナーを開始した。しかし、集客数が伸びないこと、参加後のフォロー体制が整わないこと、費用対効果が合わないことが課題に。ウェビナー後のアンケートで「後でもう一度見返したいから見逃し配信をしてほしい」「社内メンバーに共有したいから動画が欲しい」といった声を受け、YouTube動画へ切り替えた。

YouTube動画を始めるにあたっての壁は

石塚氏は、大企業で新しい取り組みが始まらない理由を「初めから100点を求めてしまう」ことにあると説明した。そこで、リーンスタートアップの考え方で、ローコストかつクイックにYouTube動画を制作することに。

始めは社内限定で動画を作成。その後、展示会を体験したお客様にクーポンを配布し、そのクーポンの使い方を動画で限定公開した。その後、一般的な公開動画へ。動画のトンマナは徐々に崩した。動画作成はすべて内製で、編集のみ外注した。台本作成から公開までは8日間、動画1本あたり1万円で制作したという。

効果検証については、YouTubeへ直接遷移させずに、複数の動画をまとめたランディングページ(LP)に誘導し、LPにはGA4(Googleアナリティクス4)でトラッキングコードを発行。CRMの顧客データと照合させ、動画の視聴が売上につながったかどうか、「効果を見える化」することができた。五十嵐氏によると、YouTube動画だけ視聴した場合は効果検証ができないが、LPだけでも効果検証ができれば、YouTube動画でも売上があることがわかると判断し、すべての計測はしていないという。

一方で、顧客の反応が見えないときは、Xで未利用者からFBをもらったり、ユーザコミュニティで利用者からFBをもらったりした。

写真 人物 ミスミで動画制作に携わる五十嵐公俊氏と石塚直哉氏

お客様の目線に立った動画作成

メビーYoutube施策では 、「誰に、何のために」という目的を整理したうえで、認知獲得・サービス理解から不安解消、操作方法理解、アップセルとそれぞれの段階に分けてファネルを作成。企画を作成し、動画を量産した。ウェビナーを Youtubeに切り替えてから3か月間で、接触人数は12.2倍、初回購入人数は5倍、ROASは20倍という結果が得られた。

石塚氏はYouTube動画の成功要因について「お客様目線で、お客様が観たいものに とことんこだわること、編集工程以外をすべて内製にしたローコストで制作したこと、結果の見える化ができたこと」だと振り返った。

YouTube動画とSNSが相関的に作用

質疑応答では、「YouTubeでマーケティングを行う中で、どのようにKPIを設定しているか」との質問が上がった。石塚氏は「メディアの強さ、事業貢献の2つの軸で考えています。そのため、YouTubeは再生回数、LPを経由して動画を視聴後、メビーを初回利用 した人の数をKPIに設定しています」と回答。続けて、五十嵐氏は「私が今担当しているSNSの部門では、XにおけるUGCの数をKPIに設定。そのため、動画をXで積極的に投稿したり、視聴の多い動画を広告に出稿したりすることで、UGCを促しています」と答えた。

続けて、「UGCを促す前からXを利用していたと思うが、うまく循環するに至るまでの流れを教えてほしい」との質問も。五十嵐氏は「Xを担当するようになってから、『メビコ』というロボットのキャラクターが簡単なコミュニケーションをするようにしました。すると、公式からコメントや反応がもらえたということで、UGCは倍ぐらいに上がった。また、最近はショート動画をXの広告で展開しています。面白さを重視しており反響のあるものは、ターゲットでない人が見ても楽しむことができ引用リポストやリプなどの反応が多くなる。拡散されることでターゲットにも届き、クリック単価も良化する。その結果、指名検索数のアップにつながっていると思います」とまとめた。

写真 人物 ミスミで動画制作に携わる五十嵐公俊氏と石塚直哉氏

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