カルビーは4月17日、IP事業成長戦略発表会を実施。ブロックチェーン技術を活用した同社初の知的財産(IP・Intellectual Property)管理プラットフォーム『かるれっと』を開発したと発表した。この「かるれっと」で、カルビーIPを活用した二次創作における外部クリエイターの与信管理やライセンス業務を簡素化。同社IP事業の課題解決を目指す。
左から、Calbee Future Laboディレクターの松本知之氏、専務執行役員の笙啓英氏、Calbee Future Labo CXチーム マネジャーの関口洋一氏。
カルビーでは、2023年から新規事業を担う「Calbee Future Labo」にて、同社のさまざまなデザインやキャラクターなどのIPを活用。カルビーとの出会いを食だけにとどめないという発想から、グッズや雑貨、ゲーム、アート、音楽、NFTなど様々な生活接点でブランドを拡張してきた。
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その結果、カルビーのライセンス商品は 2023年から2024年からの1年間で約80%増加。また、IPの二次利用においては、これまでもロイヤルティ収入を得ており、今回発表した方針のもと、将来的には50億円規模の収益を目指すとしている。
カルビーのIPを二次利用して販売された商品。
生活者との接点創出やコミュケーションという観点では、これまでのカルビーは、商品を『食べる』ことでのブランド接点創出がメインだった。そこで2020年からはCRMやファンマーケティングを強化するべく「カルビールビープログラム」導入。食べた後のパッケージを畳むとプログラム内で「ルビー」が貯まる仕組みでファン化を促進してきた。
そして今回発表されたIP戦略は、食べる“前”や未購入者への接点強化の目的もある。Calbee Future Laboディレクターの松本知之氏は、外部のクリエイターにカルビーのIPを活用して二次創作してもらい、ライセンシーへ販売することで「カルビーとの出会い」を拡げていくと話した。
「生活の中でカルビーとの出会いを増やすためには、より一層お客さまのコミュニティに 企業側から近づいていく必要があります。生活シーンのあらゆるところにカルビーのIPを散りばめて、カルビーというブランドや商品を『リマインド』することも、IP戦略拡大における1つの目的です」(松本氏)。
Calbee Future Laboディレクターの松本知之氏。
このクリエイターとの連携において欠かせない役割を果たすのが、今回カルビーが発表した「かるれっと」。「かるれっと」は、二次創作における知的財産権の発行・所有・移転・利用履歴を検証可能なデジタル証明書(VC・Verifiable Credentials)として安全かつ改ざん不可能な形式で記録・共有できるIP管理プラットフォーム。分散型ID(DID・Decentralized Identifier)とブロックチェーン技術を基盤としている。
Calbee Future Labo CXチーム マネジャーの関口洋一氏は、「『かるれっと』は事業部門・法務・知財などを横断する次世代インフラとして、企業間・国境を超えた知財活用をサポートするシステムです。 IP 事業における多様な課題に対して効果的な解決策を提供していきます」と話した。
Calbee Future Labo CXチーム マネジャーの関口洋一氏。
さらに同社専務執行役員の笙啓英氏は、カルビーのIP事業の主眼は、“食べる”以外でカルビーとの関係を築くことで、生活者の笑顔を増やすことにあると言及。カルビーは『親しみやすさ』や『顧客満足度の高さ』が強みであることを前提としたうえで、キャラクターやパッケージといった資産を通じて、よりフレンドリーなつながりを創出する方針を示した。
「商品を“食べる”ことでつくる『笑顔』だけではなく、IPを通して“カルビーに近づく”ことでつくる『笑顔』も創出することで、カルビーの価値を創出していきます」(笙氏)。
専務執行役員の笙啓英氏。
